ビルケナウ

線路の先に待ち受ける恐怖の門。
アウシュヴィッツの悲劇を象徴するカットとして、様々な印刷物やテレビで見て来た光景だ。そこに私もついに来た。
何枚もの似たような写真を撮った。スマホでも撮り、Goproでも撮った。

この写真に写った場所が「ビルケナウ」だ。
「ビルケナウ」という名前はアウシュヴィッツという総称の中に隠れ、何度も目にしているはずなのに、今回の旅行まで私の記憶に残ることはなかった。
「第二アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所」。「アウシュヴィッツⅡ」とも呼ばれる。
死の門
第一アウシュヴィッツ強制収容所から3キロの場所の広がっている。バスでわずか5分ほどの距離だ。個人客用にはシャトルバスもあるらしい。

バスは施設から数百メートル離れた駐車場に止まる。
周囲には野の草花が咲き誇っている。「第一」に比べて広々としている。

砂利道を歩いてビルケナウの象徴「正門」に向かう。まるでピクニックだ。

監視塔と鉄条網に囲まれた収容施設が見える。しかし、開放感がある立地のせいか重苦しさを感じさせない。何となく、のどかだ。

砂利道の上に一本のレールが現れる。ビルケナウの正門をくぐり、収容所の中へとまっすぐに伸びている。ヨーロッパ各地から貨車で運ばれたユダヤ人たちにとってはまさしく「死の門」であった。

敷地の広さは175ヘクタール。300棟以上のバラックが建設され、アウシュヴィッツよりさらに大規模で計画的に建設された一大殺人工場だった。

囚人たちから「死の門」と呼ばれたこの正門には、ナチス親衛隊の中央監視塔が置かれた。

門をくぐる。まっすぐな砂利道がどこまでも伸びている。