東京裁判

昨年末、NHKが4夜にわたって放送した「NHKスペシャル ドラマ・東京裁判」を録画で見た。視聴率は3%台とふるわなかったが、NHKらしい企画のしっかりした作品だった。

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NHKのホームページにはこのように書かれている。

『70年前の東京で、11人の判事たちが「戦争は犯罪なのか」という根源的な問いに真剣な議論で取り組んだ東京裁判。NHKは世界各地の公文書館や関係者に取材を行い、判事たちの公的、私的両面にわたる文書や手記、証言を入手した。浮かび上がるのは、彼ら一人一人が出身国の威信と歴史文化を背負いつつ、仲間である判事たちとの激しいあつれきを経てようやく判決へ達したという、裁判の舞台裏の姿だった。11か国から集まった多彩な背景を持つ判事たちの多角的な視点で「東京裁判」を描く。人は戦争を裁くことができるか、という厳しい問いに向き合った男たちが繰り広げる、緊迫感あふれるヒューマンドラマ。』

この裁判で焦点となったのが「平和に対する罪」だった。再びNHKのホームページより引用する。

『裁判の焦点になったのは、ナチスを裁くニュルンベルク裁判と同時に新しく制定された「平和に対する罪」。それまで国際法では合法とされていた「戦争」そのものを史上初めて犯罪とみなし、国家の指導者個人の責任を問う新しい罪の概念であった。この「平和に対する罪」を弁護側は事後法として否定する。判事室では各々の判事の意見が鋭く対立、最初は短期間で決着がつくと思われた裁判は、混迷と長期化の様相を見せてゆく。』

最も強く反対したのがインド代表判事、それにオランダ代表が続く。フランス代表やオーストラリア代表のウェブ裁判長も慎重派だった。それに対して、「平和に対する罪」を認めることが第三次大戦を防ぐために不可欠であるとして裁判を主導したのが、イギリス代表を中心とした英語圏の代表判事たちだった。イギリス、アメリカ、カナダ、ニュージーランド。その4カ国にフィリピン、中国、ソ連が賛同し、主流派を形成した。

かなりマニアックな内容だったが、知らないことも多く、見てよかった。イデオロギー論争に巻き込まれやすいテーマだけに番組化にあたっては、難しい舵取りが求められるが、国際共同制作の形をとって外国の視点を入れることによってクリアしようとした製作陣の苦労を感じた。

勝者が敗者を裁いた裁判。もちろん批判はいくらでもできる。法律的にも反論の余地は多分にある。しかし、次なる戦争を防ぐためにというイギリス判事の考え方を私は支持したい。

ただ一人日本の無罪を主張したインドのパール判事を英雄視し、東京裁判の無効を訴える人たちがいる。パール判事は法律家として事後法を適用すること、さらに言えば当時の法律で戦争そのものを裁くことへの疑義を主張したのであり、日本に罪が無いと言ったわけではないのではないか。

侵略戦争を企てた青年将校たちはすでに戦死して裁判で裁くことはできなかった。しかし、「侵略の罪」は国際法で問われるべきだと考える。

今も、戦争が公正に裁かれることは実現していない。将来も難しいかもしれない。それでも、将来の戦争を少しでも抑止するために、国際法の整備とそれを執行する方法を世界は作り上げなければならない。

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