東京国立博物館

特別展「春日大社 千年の至宝」を見るために、上野の東京国立博物館に出かけた。快晴だが、猛烈な北風が吹いていて、寒い。

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上野公園の噴水脇に赤い花がわずかにほころんでいる。樹名を確かめると「カンヒザクラ」と書いてあった。

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カンヒザクラというのは、1月から3月に花が咲く早咲きで、中国南部から台湾に分布、沖縄でも桜と言えばこのカンヒザクラなのだという。伊豆の河津桜は、オオシマザクラとこのカンヒザクラが自然交配して生まれたと言われている。

チケットを買って、博物館の敷地に入ると、今度は梅の花に引き寄せられた。

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見事な紅梅が、真っ青な空と青銅色の屋根に映える。

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白梅も見事だ。

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梅に誘われて歩いていると、特別展が開かれている平成館ではなく、「法隆寺宝物館」に来てしまった。ここに入ったことがない。

「ここのチケットは入口で買うんですか」と聞いてみた。

すると「特別展のチケットをお持ちでしたら常設展はすべてご覧いただけます」と、ありがたい答が返ってきた。

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いきなり度肝を抜かれた。小さな仏像がそれぞれガラスケースに入れられ、30体ほど整列している。見事なレイアウト。照明も絶妙だ。

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見ればすべての仏像に「重要文化財」と書かれている。

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常設の展示物の多くは、意外なことに撮影可能だという。SNS全盛時代。写真撮影を許可することで、お金をかけなくても世界中に情報が伝わる。懸命な判断だ。

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この法隆寺宝物館は、明治11年に法隆寺から皇室に献納された宝物約300件を収蔵する。現在の建物は1999年に開館し、昨年春にリニューアルオープンしたという。モダンな館内から庭の梅がきれいに見える。

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1階の玄関には椅子が置かれ、こんな景色が眼前に広がる。資料を読むスペースも空いていて、知られざる穴場スポットだ。

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お目当ての「春日大社展」が開催されている平成館。こちらはかなりの混雑だった。甲冑や太刀、絵巻物や曼荼羅など、国宝や重要文化財がたくさん展示されていたが、こちらは撮影禁止だ。

奈良の春日大社は もともと常陸国の神だった武甕槌命(たけみかづちのみこと)が鹿にのって奈良・御蓋山に降臨したという伝説から始まっている。そのため、奈良では鹿は「神鹿(しんろく)」と呼ばれ大切にされている。

称徳天皇は768年、武甕槌命を筆頭に4体の神を祀り4棟の本殿を建設した。これ以来、20年に1回、「式年造替」と呼ばれる社殿の立て替えや修繕が行なわれる。去年60回目の式年造替が行なわれた。

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撮影が許されるのはこの灯籠だけ。これらの灯籠は今でも神社に奉納されている。最近作られたものだから、歴史的な価値はないのだ。

多くの絵巻物が残っているため、平安時代の出来事や暮らしぶりを知るには貴重な資料が多いのだろう。ただ、人の肩越しにざっと見て回るだけなら、さほどの興奮はおぼえない。

ついでにもう少し常設展示を見ていこう。

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東京国立博物館のシンボルとも言えるこの埴輪。群馬県から出土した。

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私が好きな縄文時代。この土偶は青森県つがる市の亀ヶ岡遺跡から出土したものだ。

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彫刻の展示スペースはいつ来てもすばらしい。特に鎌倉時代の仏像のリアリティーは世界的にみても躍動感がすごいと思う。

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日本に来た外国人には、ロボットレストランではなく、国立博物館にぜひ足を運んでほしいと思う。日本は、昔から「ものづくりの国」だったということがわかる。中国・韓国から輸入した文化や技術を独自に磨き上げたことがよくわかる。

日本人は、ずっと同じように生きてきた。0から1を作るより、1を10に進化させる。そうした才能に富んだ民族なのだと思う。それもひとつの才能だ。

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