ジオ・ジャパン

やはりNHKはすごい。金持ちだ。

2週にわたって放送されたNHKスペシャル「列島誕生 ジオ・ジャパン」。

とてもとても、面白かった。

これは最新の研究から日本列島誕生の歴史をわかりやすく描こうという壮大な番組だ。

NHKのホームページにはこんな説明が載っている。

『私たちの暮らす日本。地球上の陸地の1%にも満たない狭い国土の中に“宝物のような絶景”が満ちあふれている。さらに不思議なことに、大海原のただ中の島国なのに、なぜか三千m級の山々がそびえている。
日本列島は、どうやって生まれ、どんなドラマをへて、今の姿となったのか?
最新科学は、数千万年に及ぶ“列島誕生の大地の物語”を解き明かしつつある。そして地球史上まれな“奇跡的な四大事件”があったからこそ、列島がここに存在していることを突き止めた。『ジオ・ジャパン』では、日本各所の絶景や、はるかな時空を超えたタイムトリップCG、そして列島誕生と深く結びついた“和食”を読み解くスタジオから、日本の“大地のドラマ”を描く。』

何と言ってもそのCGが素晴らしい。最近のNHKの科学番組は一貫して精巧なCGを製作し、視覚的に物事を伝える。このCGのレベルはBBC並みで、民放の追従を許さない。それだけの金と時間をつぎ込んでいるのだ。

このテーマ、実は私も一昨年から興味を持ち、国立科学博物館に足を運んだり、関連本を読んだりしたものだ。しかし、ここまで体系的に理解できていかなった。今回の番組で、多くの知らない研究成果を知ることができた。

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まずは先週放送された第1集「奇跡の島はこうして生まれた」。

『3000万年前、今の日本列島の位置には陸地もなかった。いったい何が起きて、大海原の中に島々が誕生したのか? そこには、想像を超えた驚くべき大地のドラマがあった・・・。』

番組が設定した4つの奇跡のうち2つを取り上げた。

1つは、中国大陸の端に巨大な溝ができ大地が引き裂かれた。日本列島はそうして引きちぎられた大陸の一部が回転しながら東に移動してできたというお話だ。しかも、東日本と西日本の2つの塊が別々の回転をしながら、偶然ぶつかったという地球上あまり例のない奇跡の物語として描かれる。

この話は、一昨年、地震のメカニズムを調べていて知った。日本各地の磁場を調べてこのような仮説が有力になっている。

2番目の奇跡は、火山島の連続衝突である。すなわち、現在の伊豆諸島が少しずつ北に移動しているように、フィリピン海プレートの位置が変化したことにより、南にあった火山島の列が今の伊豆諸島の場所に移り、西日本の東端に連続して衝突するようになった。これにより丹沢山系や伊豆半島、富士山が誕生し、相模トラフなど深海が陸地のすぐ近くまでせり上がってきた。伊豆沖で金目鯛が獲れること自体、世界的に珍しいことだという物語だ。

火山島の連続衝突の話は知っていたし、金目鯛や深海の話も知っていたが、フィリピン海プレートの位置が大きく変わったことは知らなかった。これこそが、南海トラフの問題と直結する。

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そして今日放送された第2集「奇跡の島は山国となった」。

『生まれたばかりの日本列島は、大陸的な平原がひろがる「平べったい」島々だった。いったい何が起きて、いまの険しい山々が誕生したのか? そこには、地球全体を揺るがす大事件が隠されていた・・・。』

日本列島が経験した3つ目の奇跡は、西日本で起きた巨大カルデラ噴火だった。紀伊半島には巨石が多く、それが熊野信仰に結びついているが、実はこの巨石は1400万年前の巨大カルデラ噴火の痕跡だという。そして、紀伊半島の地下には神奈川県の匹敵する超巨大な花崗岩層が確認された。地下で大量のマグマが固まったものだ。花崗岩は比重が軽く、長い年月をかけて浮き上がり、上の大地を隆起させたという。この巨大カルデラ噴火は四国や九州など各地で起きたが、それをもたらしたのは引き裂かれて高温になったフィリピン海プレートの沈み込みだという。

巨大カルデラ噴火は、数年前大きな話題となり、場合によっては九州が消滅してしまうかもしれないと言われ、私も大いに驚いた記憶がある。しかし、その原因や紀伊半島の下に眠る巨大花崗岩の話など、知らないことばかりだった。西日本の山々は巨大カルデラ噴火とそれに伴う花崗岩の隆起で起きたという物語だ。個人的にはこの話が一番興味深かった。

そして最後の奇跡。これは東日本がなぜ隆起したかという仮説だ。これは一研究者の立てた仮説に基づいて物語が展開する。おそらくまだ固まっていない理論なのだろう。

この研究者は、およそ300万年前にフィリピン海プレートの動く方向が変わったと考えている。これは房総半島の地層を調べた結果から導かれた仮説だ。それまで北に向かって動いていたフィリピン海プレートが太平洋プレートと衝突し、進路を北西に変えた。その結果として、太平洋プレートの沈み込むラインが徐々に西に移動した。そのため、大陸のプレートが押され、東日本から北アルプスにかけて今も隆起が続いているという。

これこそ、東日本大震災をもたらした東北沖の歪みだ。こうして常に東からの圧力を受け隆起し続けている日本列島。別の研究者は、隆起と降雨の関係を研究している。もしも隆起が止まると、降雨による大地の侵食により日本の山は無くなってしまうという。そうなると雨が降らなくなり、日本はもっと乾燥した土地となる。そして急流が消えることにより、清流に支えられた日本ならではの風土や食文化が消えてしまうというのだ。

確かに、地球上でも極めて特殊な位置に存在する日本列島。世界有数の地震大国であり、山と海が近接する非常に変化に富んだ国土を持つ。研究が進むにつれ、その特殊性が科学の力で解明されていく。そこには限定されたエリアを徹底的に調べる名もなき多くの研究者たちがいる。彼らが見つけた小さな発見が、IT技術を使って地球の遠い過去を知る手がかりとなる。

一般の人に見てもらうために、番組はかなり無理筋の演出も見られたが、総じて大変よくできた番組だった。この手の科学番組としては視聴率も良かった。日本列島にますます興味を持った人たちもいることだろう。

巨大地震は必ずやってくるし、火山の噴火も避けられない。

この番組を見るとそれが非常によくわかった。

日本に住むということは、地震や火山と共存することである。それが世界の人が目を見張る日本人の特殊な国民性を形作った。

すべては与えられた自然の中で生まれる。人間はその与えられた環境の中でいかに自らの暮らしや社会を築いていくかが問われているのだろう。

 

 

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