<吉祥寺残日録>玉川徹氏の冬休み #200323

コロナ騒動が始まって以来、我が家では朝のテレビ視聴が増えた。

午前8時台は、NHK-BS1で海外ニュースを見て、テレ朝の「モーニングショー」にチャンネルを変えるのが日常になっている。

ところが、今朝テレビ朝日にすると、コメンテーターの玉川徹氏がいない。番組冒頭を見ていないので、どうしたんだろうと思ってネットで調べてみると、どうやら「遅めの冬休み」という説明だったようだ。

テレビ業界の場合、人気の司会者などは年末年始休みが取れず、遅めの冬休みを取ることは珍しいことではない。しかし、テレ朝の社員である玉川氏が遅めの冬休みを取る、しかもコロナ騒動が佳境を迎えている今週休みを取るというのは私の経験上、違和感がある。

玉川氏は一貫してワイドショーに関わってきたテレビマンで、報道記者とは一味違う野次馬魂で空気を読まない自由な発言を売りにしてきた。しかし、コロナ騒動に関しては概ね私の考えに近い発言をしていたので、その不在が妙に気になった。

すぐに頭に浮かんだのは、いよいよ政権周辺が番組に露骨な圧力をかけ始めたということだ。

安倍政権が誕生してメディアへの圧力は明確に強まっている。

通常は、安倍サポーターを使ってネット上で番組を攻撃したり、テレビ局にクレームを入れさせる程度なのだが、本気になるとテレビ局の上層部に圧力をかけることもあるらしい。切り札となるのは、放送法の解釈と放送免許の更新である。

テレビ局の株主総会で一部の株主が政権批判を行う番組を「偏向番組だ」として糾弾することも毎年のことになった。

玉川氏が本当に冬休みを取ったのか?

それとも政権周辺の圧力を受けて、テレ朝上層部が番組に介入したのか?

私にはなんの情報もないが、直感で言えば後者に見える。

ネット上には、玉川氏を攻撃し、スタジオから消えたことを賞賛する書き込みが目立つ。しかし、この番組が同時間帯トップの視聴率を獲得している一因は玉川氏のツッコミであり、ネット世論とは違う彼を評価する視聴者も多いと推測されるのだが・・・。

玉川氏のいないスタジオには、専門家会議のメンバーである医師会の釜萢敏常任理事が生出演して、様々なテーマについて政府の立場を説明していた。この番組の常連である岡田晴恵さんも出演していたが、羽鳥氏もいつものように質問しないし、岡田さんも言葉少なく完全に発言を押さえ込まれているように見えた。

以前この番組によく出演していた大谷医師は、クリニックに抗議が殺到しテレビ出演を辞退するようになったという。

それでも、この番組の優れているのは、玉川氏ではなく細かく情報を整理するスタッフの能力だと思うので、今日の放送も一定のレベルは保たれていた。しかし、政府に方針に対する牙はほとんど消えてしまったように見える。

先日成立した特措法の議論の中で、緊急事態が宣言された場合、民放の放送内容にも政府が介入できるという答弁があり、野党の追及を受けて総理が否定する場面もあったが、実際には水面下でメディアへの圧力は強まるのだろう。

テレビ業界で言えば、今週は「期末」と呼ばれ、レギュラー番組の出演者の入れ替えが行われるタイミングである。その週に玉川氏がスタジオから消えたことはとても気になるのだ。

「4月期首」となる来週、「モーニングショー」のスタジオに玉川氏が座っているかどうか、優秀なスタッフが入れ替えにならないか、注目してみていきたいと思う。

もし玉川氏が番組から消えることがあれば、日本の言論の自由はかなりヤバイ状況になってきたと考えざるを得ないだろう。

<追記 3月31日>

玉川氏は、翌週3月30日から番組に復帰した。本当に冬休みだったらしく、家でニュースをチェックしていたそうだ。

今週は一層肩に力が入っているようで、「もしこの番組に圧力をかけるようなことがあれば、私が生放送で全部話す」とコロナ危機に乗じてメディア規制をしようという動きを強くけん制していた。

この春、テレ朝「報道ステーション」の後藤さんが交代するなど、政権に批判的な人がメディアから消えていく。

「同調圧力」という意味不明な言葉がいつの間にか市民権を得て、「権力のチェック」をその存在意義としていたメディアの多くが、牙を抜かれた広報機関に成り下がっているように見える。

今の若い世代に戦前の反省という概念はほとんどないのかもしれないが、メディアに携わる人たちには戦争を煽った戦前のメディアについてぜひ勉強してもらいたい。

そして、どんなメディアを選ぶのか、最後に選ぶのは国民である。

「同調圧力」よりも「権力のチェック」を選択してもらいたいと心から祈る。

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