<吉祥寺残日録>原油価格史上初のマイナス #200421

朝起きてニュースを見ると、原油価格が急落し先物価格が史上初めてマイナスとなったという。

新型コロナウィルスにより世界中がロックダウンされていて、原油の需要が極端に落ち込んでいることは理解できるが、原油価格がマイナスという意味がよくわからないので日経新聞の記事を引用しておくことにした。

見出しは、「NY原油先物、初の価格「マイナス」 5月物投げ売り殺到」。

20日のニューヨーク原油先物市場で史上初めて価格がマイナスとなった。原油需要が激減するなかで在庫が増え、保管スペースが枯渇。買い手がつかなくなった。ファンドが投げ売りし1分で10ドル以上下落する場面もあった。21日に取引を終える5月物だけの局所的な話だが、世界を代表する国際商品市場で極めて異例の事態だ。

産出した原油の保管スペースが問題のようだ。

過去37年間のチャートも掲載されていたが、確かに異常な事態だということが伝わってくる。

リーマンショック直前の2008年には1バレル=147ドルの史上最高値をつけていた原油先物価格が、昨日は1バレル=マイナス37.63ドルまで下落したことになる。

1日で55.9ドルも急落した。

朝から売られていたが、拍車がかかったのは午後に入ってからだ。正午過ぎに10ドルを割ると10分おきに1ドル下がるような展開になった。午後2時すぎに節目の0ドルを割ると午後2時30分には一気にマイナス40ドル強まで崩れた。

マイナスでの取引とはどういうことになるのか?

20日の価格(マイナス37.63ドル)で新たに1000バレル買い、そのまま取引終了を迎えると、同量の原油とともに3万7千ドル(約400万円)の現金を受け取る。売り手なら、逆に400万円を支払って原油を引き取ってもらう。通常では考えられない事態だ。

20日の価格で原油を1000バレル買うと、売り手から400万円をもらって原油を引き取るということになるらしい。

1バレルは159リットルなので、400万円欲しさに1000バレル買っても困るだろうが、やはり物を買ってお金をもらえるという事態は世の中にほとんどない異常事態だということは理解できた。

「マイナスの価格は原油の貯蔵コストを意味する」そうだ。

買い手不在のなか、原油の引き取りを避けるための投げ売りがマイナス価格をもたらした。

誰もババをつかみたくないので、「投げ売り」になったらしい。

ただ、先物取引にはいろいろ種類がある。

今回マイナス価格となったのは、今日取引が終了となる5月物だ。

1ヶ月先の6月物は1バレル=20.43ドル、12月物は32.41ドルでそれほど値崩れしていない。

年後半に原油需要が回復するとの見方が多いほか、産油国のさらなる減産の期待もあるためだ。

OPECプラスが大幅な減産で合意したばかりだが、さらなる減産が進むのか?

鍵を握るのはいつの間にか世界最大の産油国となったアメリカの対応だろう。

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経済の低迷が長引けばトランプ大統領の再選戦略に赤信号が灯る。

ここに来て、トランプ大統領は経済活動の再開に向け一気に舵を切ろうとして、民主党選出の州知事たちとの軋轢が表面化してきた。

各地でトランプ支持者が街頭に出て、営業再開を求める抗議行動を繰り広げている。

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アメリカの感染者数はすでに76万人に超え、死者数も4万人を超えた。

感染爆発が起きたアメリカとヨーロッパが出口を模索し始める一方で、新興国で感染者数が急増し始めている。

トルコが9万人、ロシア4万7000人、ブラジル4万人、そして全土を封鎖したインドでも2万人に迫っている。

中国を筆頭に一足早くピークアウトした国々が経済活動を再開したとしても、各国が国境を開放し飛行機が飛び始めるのは、かなり先の話となるだろう。

当初想定していた以上に、このウィルスはタチが悪い。

思惑通り、年後半に経済が回復するかどうかは、まったく予断を許さない。

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