<吉祥寺残日録>世界経済マイナス3%成長 #200415

世界中を巻き込む新型コロナウィルス危機だが、連日悪いニュースに接していると、人間は何も感じなくなってしまう。

ある意味で「コロナ慣れ」と呼べるような心もようが世界に広がってきて、私も決して例外ではない。

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それが一番現れているのが株式市場で、先週あたりから値上がりが続いている。株価は半年先を反映すると言われ、二番底に備えよという慎重派はV字回復に乗り遅れまいという楽観派に押され気味である。

欧米での感染拡大がピークアウトしたらしいという動きに反応したものだが、専門家の言葉を聞けば聞くほど、どうしてみんなこんなに楽観的なのか私には理解できない。

日本では、各地で医療崩壊の兆しが見えはじめている。

緊急事態宣言を発した安倍総理の呼びかけにも関わらず、人との接触を8割減らすという目標は「通勤」という壁に阻まれ達成は不可能だろう。

そんな弛緩した雰囲気の中で、IMFから世界の経済見通しが示された。

2020年の世界全体の成長率は、マイナス3.0%。

リーマンショックをはるかに超えて、「大恐慌以来、最悪の不況を経験する可能性が高い」とも暗い見通しを発表したのだ。

国別では、日本が−5.2%、アメリカが−5.9%、ユーロ圏は−7.5%、ヨーロッパ最悪のイタリアは9%のマイナス成長を予想した。

一方、中国は1.2%、インドは1.9%のプラス成長としたが、リーマンショックの際に中国が世界経済を支えたような力強さはない。

日経新聞に掲載されていた対比表を拝借すると、コロナショックによる損失はリーマンショックの2.5倍になると予想されている。

ただ今回の危機は世界で同時進行で進み、各国政府は競い合うように前例のない大胆な金融政策を打った。中でもFRBが無制限の量的緩和に踏み切り、格付けの低い債権まで買い取る姿勢を見せたことで市場は一気に強気に傾いた。

何よりもマーケットの動向を気にするトランプ政権の下では過去のタブーは次々に破られ、市場にあふれる前例のない大量のマネーが新たなバブルを作り出す可能性も懸念される。

世界は大不況なのに、株価だけが高騰していく。そんなありえない世界が出現するかもしれない。

現在の日経平均は1万9600円、ダウ先物は2万3742ドルまで戻り、パニック売りが続いた3月半ばからほぼ半値戻しを達成した。

コロナ危機が起きてから、私は日経平均やダウの先物の動きを見るようになったのだが、時々不自然な大量買いが入る瞬間を目にした。それも○時ちょうどとか○時半とか、キリのいいタイミングで突然チャートが急伸するのだ。マーケット関係者にとっては珍しいことではないのかもしれないが、素人の私にはものすごく不自然な値動きに見えた。

ひょっとすると、あれが市場関係者が言う「クジラ」、すなわち日本の年金資金なのだろうか?

日本では、専門者会議クラスター班の西浦教授から新たな数字が発表された。

「なんの対策を取らなかったら、日本で41万人の死者が出る」というものだ。

ワイドショーでは「衝撃的な数字が発表された」と報じられているが、私からすれば何ら衝撃的でもない。先日アメリカが発表した「対策を取っても10ー24万人の死者が出る」という数字は衝撃的だったが、あの時に「日本ではどうなの?」と専門家会議に取材するメディアが全く現れなかった。

西浦教授たちの動きはNHKスペシャルが追跡取材をしていて、先日の放送分で西浦教授は「私たちの危機感が国民にうまく伝わっていない」と強い焦りを見せていた。その結果、西浦教授たちは政府ではなく小池知事に東京都の状況を直接伝えることにし、それに反応した小池知事は素早く「感染爆発の重大局面」と都民に呼びかけ、ようやく日本の危機対応が始まった。

つまり、西浦教授たちはずっと政府に厳しい数字を示していたのだろう。しかし、政府はその数字を握りつぶし、国民に知らせなかった。

今回、西浦教授がどういう経緯で記者会見を開いたのか私は知らないが、このままでは「8割自粛」は絶対に達成されず、日本での感染爆発、医療崩壊は避けられないと判断したのだろう。

ただ、こうした専門家の悲壮な訴えも、「コロナ慣れ」してしまった国民にどこまで伝わるのか、甚だ心もとない。

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今日のニュースでもう一つ注目したいのは、トランプ大統領がWHOの対応が中国寄りで問題があったとして徹底調査する考えを明らかにし、その間一時WHOへの拠出金を停止すると発表したことだ。

何でもお金で脅すトランプさんの常套手段でコロナ対策という点では極めて問題が大きいが、WHOに関しては私はアメリカによる徹底調査に期待したい気持ちがある。

中国武漢で新型ウィルスが拡大した際、WHOから発信されるメッセージには強い違和感を感じた。

テドロス事務局長が中国に気を遣って必要な対応を怠ったため感染が世界中に広がったという疑惑は確かにある。それが事実かどうかはわからないが、世界中の多くの人がそうした印象を持ったのは確かだ。

WHOだけでなく国際機関ではこの手の疑惑はよく指摘されるが、外交特権なども絡んで解明されることは少ない。アフリカ出身の国連職員には有力者の子弟も多いとされ、様々な利権がうごめいている。

トランプさんのようなキャラクターでなければ踏み込めない闇である。

最大の拠出国であるアメリカが資金停止を武器に初期対応の資料提出を求めれば、WHOの内部に眠っていたテドロス批判の声が表に出てくる可能性もある。

ひょっとすると、中国による裏工作があぶり出されるかもしれない。

トランプさんと刃物は使いようである。

こんなことを面白がっている私こそ、「コロナ慣れ」してしまっているのだろう。

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