<吉祥寺残日録>レムデシビルと日本製PCR検査機 #200508

私は、もともと健康や病気に関する興味が驚くほどない人間だ。

自分が過去に何の病気にかかったかも、一旦治るとすぐに忘れる。

時々、過去の病歴とか、現在飲んでいる薬の名前を書かなければならない時があって、その都度困ってしまうほどだ。

しかし、今回の新型コロナウィルスについては、1月に武漢が封鎖されて以来、異常な関心を持って推移を見つめてきたのだが、これは病気そのものへの関心ではなく、このウィルスがもたらす経験したことのない事態に強い興味を持ったのだ。

この先、何が起きるのか?

世界はどのように変わっていくのか?

私たちの暮らしにどんな影響を及ぼすのか?

ところが、毎日朝から夜中までテレビを見て、ネットでも様々な情報を得ているうちに、多くの知識が身について驚きがなくなってきてしまった。

このところ、メディアの関心もワクチンや治療薬の話が増えてきて、私の興味がない分野に移っていっている。

こうした中で、「レムデシビル」という薬が新型コロナウィルスの治療薬として承認された。

国内で初のことである。

承認されたのは、新型コロナウイルスの治療薬としてアメリカの製薬会社「ギリアド・サイエンシズ」が申請していた「レムデシビル」です。

「レムデシビル」はエボラ出血熱の治療薬として開発が進められてきましたが、新型コロナウイルスの治療にも効果が期待されていて、アメリカでは今月1日、重症患者に対する緊急的な使用が認められました。

日本国内でも今月4日に製薬会社から申請され、7日夜、専門家らが出席する厚生労働省の審議会が安全性や有効性などについて議論した結果、承認を認める意見をまとめました。

これを受けて、加藤厚生労働大臣は、審査を大幅に簡略化する「特例承認」の制度を適用し、国内で初めての新型コロナウイルスの治療薬として承認しました。

出典:NHK

何事も、驚くほど進まない日本のコロナ対策を考えると、レムデシビルの特例承認は驚くべきスピードである。

今月4日に申請を受け付けて、7日に承認したのだ。

やれば、できるのである。

なぜ、レムデシビルはこんなに早く承認されたのか?

考えられる理由は、トランプ大統領がこの薬をプッシュしているからだ。

専門家の間からは、この薬の強い副作用を指摘する声も多い。通常の日本政府のスタンスからすれば、副作用の方を重視してなかなか承認作業が進まないはずだ。それがわずか3日で承認された背景には、安倍総理の強い意思があったと私は考えている。

トランプさんから頼まれたのだろう。

安倍さんが決断すれば、通常の手続きはすっ飛ばすことができるのだ。

しかし、この特別扱いの対象が、なぜレムデシビルだったのか?

それは、この薬がアメリカの企業が特許を持つ薬だからである。

現在、世界中の企業や研究機関が新型コロナウィルスの治療薬の開発を競っている。これだけ、世界中で需要が見込まれる薬というものは、莫大な利益を開発国にもたらす。

中国やヨーロッパの企業に勝てる可能性があるのだ。

自国第一主義のトランプさんが、最優先でレムデシビルをプッシュしている理由はそこにある。

安倍さんとしては、トランプさんのお願いを聞いてレムデシビルの特例扱いをする代わりに、アビガンをアメリカに大量に売り込もうとしているのかもしれない。それはそれで、一つの戦略だ。

しかし、である。

昨日の夜、BS-TBS「報道1930」を見ていたら、驚くような話を伝えていた。

日本製のPCR検査システムがフランスから感謝状をもらったというのだ。

「日本製?」というところが気になった。

このPCR検査システムは、千葉県に本社を置く「プレシジョン・システム・サイエンス(PSS)」という日本企業が開発した全自動PCR検査キットだという。

検査にかかる時間が短く、正確で、人が行う作業が少ないため安全性が高いのが特徴だ。

2015年に発売され、フランスのほか、ドイツ、イタリア、アメリカ、韓国などに輸出されているものの、日本ではいまだに未承認だという。

なぜか?

会社の社長の説明によれば、日本の場合、厚労省の承認手続きが煩雑なうえ、日本でのPCR検査の需要が少なかったため、海外での販売を優先していたというのだ。

「おいおい」と思わず声が出そうになってしまう。

「ものづくり大国」日本には、知らないところにいろんな宝が眠っている。なのに、それを知らず、使わず、今回の危機を招いてしまったのだ。

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この国は一体、どうなっているのだろう?

新型コロナウィルスがやって来る前、日本人の多くは、日本の医療システムを信頼し誇りに思っていたはずだ。しかし、図らずも今回の危機によって、日本の医療の現実、さらには行政機関の危機管理能力のなさを思い知らされることとなった。

そして一番痛感したのは、「悪夢のような民主党政権」と言い続けてきた安倍内閣の、感覚のズレと実行力の欠如だと思う。

政府が何を優先し、何をおろそかにしてきたか、国民はこの機会にきちんと見て記憶しておく必要があると感じている。

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