<吉祥寺残日録>コロナがなければ東京五輪が始まっていた日 #200724

2020年7月24日。

コロナがなければ、きょう東京オリンピックが開幕するはずだった。

世界中からトップアスリートがこの街に集まり、世界中の目がこの街に注がれるはずだったのだ。

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開会式が開かれる予定だった新国立競技場に、昨夜登場したのは競泳の池江璃花子さんだった。

観客のいないスタジアムで一人ランタンを掲げる池江さん。

純白のドレスにショートヘア、病によって突如、栄光からどん底に突き落とされ、それでも前を向く一人のアスリートが無人の競技場から静かにメッセージを発信した。

池江璃花子です。

今日は、一人のアスリートとして そして一人の人間として少しお話しさせてください。

本当なら、明日の今頃この国立競技場では TOKYO 2020の開会式が華やかに行われているはずでした。 私も、この大会に出るのが夢でした。 オリンピックやパラリンピックはアスリートにとって 特別なものです。 その大きな目標が目の前から、突然消えてしまったことは アスリートたちにとって 言葉にできないほどの喪失感だったと思います。

私も、白血病という大きな病気をしたから、よく分かります。 思っていた未来が、一夜にして、別世界のように変わる。 それは、とてもキツい経験でした。

そんな中でも、救いになったのはお医者さん、看護師さんなど たくさんの医療従事者の方に、支えていただいたことです。 身近で見ていていかに大変なお仕事をされているのか、実感しました。 しかも今は、コロナという新たな敵とも闘っている。 本当に感謝しかありません。ありがとうございます。

2020年という、特別な年を経験したことでスポーツが 決してアスリートだけでできるものではない ということを学びました。 さまざまな人の支えの上に、スポーツは存在する。 本当に、そう思います。

今から、1年後。 オリンピックやパラリンピックができる世界になっていたら どんなに素敵だろうと思います。 今は、一喜一憂することも多い毎日ですが一日でも早く 平和な日常が戻ってきてほしいと、心から願っています。

スポーツは、人に勇気や、絆をくれるものだと思います。 私も闘病中、仲間のアスリートの頑張りに たくさんの力をもらいました。今だって、そうです。 練習でみんなに追いつけない。悔しい。 そういう思いも含めて、前に進む力になっています。

TOKYO 2020 今日、ここから始まる1年を単なる1年の延期ではなく、 「プラス1」と考える。 それはとても、未来志向で前向きな考え方だと思いました。

もちろん、世の中がこんな大変な時期に スポーツの話をすること自体 否定的な声があることもよく分かります。 ただ、一方で思うのは 逆境からはい上がっていく時には どうしても、希望の力が必要だということです。 希望が、遠くに輝いているからこそ どんなにつらくても、前を向いて頑張れる。 私の場合、もう一度プールに戻りたい。 その一心でつらい治療を乗り越えることができました。

世界中のアスリートと そのアスリートから勇気をもらっているすべての人のために。 一年後の今日 この場所で希望の炎が 輝いていてほしいと思います。

競泳選手 池江璃花子

「一年後へ。一歩進む。〜+1メッセージ〜TOKYO 2020」

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派手で賑やかな演出が当たり前のオリンピックの関連行事で、こうした静かなセレモニーは極めて珍しい。

でも、とても良かったと思う。

池江さんも素敵で、全体に日本人らしい感性も感じられた。

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オリンピックの熱狂からは程遠い今の東京。

昨日の新規感染者数は366人、また過去最多を更新した。

夜の街や飲食店、イベントだけをいくら規制しても、日々の満員電車を放置していたら、東京の感染者数は増え続けるだろう。

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一方、世界に目を転じると、平和を希求するオリンピックの精神とはかけ離れた状況が続いている。

アメリカ政府は、ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命じる決定を下した。米大統領選を前にして米中対立は新たな段階に入ろうとしている。

コロナの震源地となった中国に対しては、香港の民主派弾圧の強硬策も影響して世界的な警戒感が高まっている。習近平さんが推し進めてきた一帯一路戦略はコロナによって中国の足かせとなるかもしれない。

ファーウェイやTikTokといった中国企業やサービスを締め出す動きが欧米諸国の間で広がっている。日本でも習近平訪日にむけた友好ムードはすっかり影を潜め、尖閣諸島をめぐる対立が再燃しそうな雰囲気だ。

1年後。

私は、東京オリンピックが開催できることを願っている。

こんな時代だからこそ、あらゆる知恵を絞ってオリンピックは開催してほしい、開催すべきだと思っている。

トップアスリートたちが、世界共通の試練だったコロナ禍をどのように乗り越えてきたのかを、フェアプレーの中でこの目に焼き付けたい。

無観客でもいい。

観客のいない客席を巨大なLEDパネルで多い、世界中のお茶の間から応援動画を送ってもらうのはどうだろう。

参加費を1万円程度に設定すれば、世界中の人たちが応援してくれて、尚且つオリンピックの運営資金も調達できるというスキームだ。

コロナがもたらした新たな日常の中で、商業主義に陥ったオリンピックを世界中の普通の人たちの手に取り戻す、そんな東京オリンピックができれば歴史に残る大会となることだろう。

1件のコメント 追加

  1. wildsum より:

    おそらく来年七月まで世界中でコロナが収束するのは難しいと思います。無観客のオリンピックもいいですね。賛成です。

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