パンデミックを防ぐ方法として最も有効なのは、病気の発生エリアを封鎖することだ。
それが現実のものとなった。
新型肺炎が拡散する中国・武漢で、今日突然交通機関が一斉に運行を取りやめた。
中国当局は、国の威信をかけて武漢に新型肺炎を封じ込める作戦を始めたようだ。
一度やると決めたら、中国の対応は素早い。なんの広報もなく、午前10時に駅が封鎖された。噂で知った一部の市民が街から脱出するために駅に殺到した。
武漢への直行便を運航している全日空も当面、飛行機の運航を停止することを決めた。
武漢市の人口は、1100万人。
病気の拡大を防ぐために、これだけの大都市を封鎖するのは世界でも前例がないだろう。市内では食料品やマスクが店から消え、自動車で脱出しようという市民も多いという。
それはそうだろう。
謎の病が広がっている街から突然出られなくなってしまったのだ。自分や家族の生死に関わる。今はまだ当局の統制が効いているが、病気がさらに拡散した場合、パニックが起きる可能性も否定できない。
そんな中、一人の日本人が重い肺炎で入院しているという。まだ新型肺炎かどうかはわかっていないが、日本政府としてもなんとかこの患者を救出したいところだろう。もしそれが自分の家族だったらと思うと、ゾッとする。
問題は今後の中国政府の対応がどうなるかだ。
まずは武漢に留め置かれた市民たちがパニックに陥らないために、十分な食料や物資を提供する必要がある。経済活動は当面ストップするだろう。インフラ関係に支障が出ないよう注意する必要もある。
それでもすでに病気は中国各地に広がっている。
明日から春節。民族の大移動が始まる。
実家に帰ることを自粛する人も多いようだが、とにかく中国は人の数が桁外れだ。日本にも大勢やってくる。水際で全て防ぐことは容易ではないだろう。
春節が終わった時、世界にどれだけ病が拡散しているのか?
そしてその時、武漢の街はどんな状況になっているのか?
中国当局の手腕が問われる。
失敗すれば、中国人の間で政府に対する不満が爆発する可能性さえある危ない綱渡りが始まる。
中国の混乱が大きく拡大するようなら、「世界の工場」としての機能が狂い、世界経済にも思わぬ打撃を与えることも予想される。
そしてもしこれが日本で起きたとしたら、日本政府は大都市を隔離するような強硬手段を取ることができるのだろうかという疑問も湧いてきた。
まずは、推移を見守りたい。
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