<吉祥寺残日録>マスカット・オブ・アレキサンドリア #200704

昨日、岡山で一人暮らしをしている母親から宅配便が届いた。

中身は、ブドウであった。

「マスカット・オブ・アレキサンドリア」。

私がこの世で最も好きな食べ物である。

早速、皿の上に出して写真を撮る。

エメラルド色のはち切れそうな粒一つ一つに、至福の味が詰まっているのだ。

私の母はいつ頃からか、知り合いの農家にお願いして家族全員に毎年ブドウを贈ることを習慣としている。

ほどんどの家には、ピオーネという種のない黒ぶどうとマスカットの詰め合わせを贈るらしいが、私は全部マスカットにしてほしいと伝えているので、我が家には決まって緑のブドウだけが届く。

近頃では、種無しで糖度の高いブドウばかりが人気だが、子供の頃からブドウを食べている私には、今も断然「マスカット・オブ・アレキサンドリア」がダントツのナンバー1である。

何と言っても、甘さと酸味のバランスが他のぶどうとは全く違う。他の何とも似ていない「高貴な味」なのだ。

これだけ多種多様な食べ物があふれる東京でも、このブドウよりも美味いものに出会ったことがない。

毎年夏になって「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を食べるたびに、トップの座が不動であることを再認識するのである。

今回ブログに書くにあたって、このブドウについてネットで少し調べてみた。

ウィキペディアの情報で恐縮だが、そこにはこんなことが書いてある。

北アフリカ原産の非常に古い品種で、ローマ帝国時代、エジプトのアレキサンドリア港から地中海各地に広がった。淡黄緑色(エメラルド色)の長円形の大粒の実をつけ、甘みが強く、強いマスカット香が特徴である。「ブドウの女王」の異名を持つ。

品種としては紀元前より現在に至るまで連綿と続く非常に古いものであるが高級品種であり続けている。

出典:ウィキペディア

まさに「ブドウの女王」様なのである。

スペイン、イタリア、南アフリカでは、生食として、南ヨーロッパ、アフリカ、南アメリカ、カリフォルニア、オーストラリアでは、ワインの原料として利用されていると書いてあるが、ヨーロッパで生食用に売られている緑のブドウは、宝石のような日本の「マスカット・オブ・アレキサンドリア」とは比べ物にならない。

日本の「マスカット・オブ・アレキサンドリア」こそが、私の知る限り世界最高のブドウだと確信している。

その日本のマスカットについて、ウィキペディアではこのように書いてあった。

日本では1880年頃に兵庫県印南新村(現在の稲美町の一部)に開設された官営の播州葡萄園に植えられたのが最初とされる。その後1886年に岡山県津高郡栢谷村(現在の岡山市北区栢谷)の山内善男と大森熊太郎が士族授産の一環として播州葡萄園から苗木と栽培技術を持ち帰り、ガラス温室による栽培を成功させた。当時マスカット一箱が米一俵と同じ値段で売れたという。

岡山は栽培に適していた地であったことから、今日では日本産マスカット・オブ・アレキサンドリアの殆どをこの地が産出する。この他の地域では気候や地質が合わずマスカット・オブ・アレキサンドリアは根付かなかった。

出典:ウィキペディア

そう、各地で栽培されているシャインマスカットと違い、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」は雨が少ない岡山の土地にしか根付かなかった。

だから貴重なのだが、流通量が少なくシャインマスカットのように一般に浸透しなかった。

しかも、種がある。

私など口の中で自動的にブドウの皮をむき、種も自動的に吐き出しているのだが、食べなれない人はこの作業ができないらしい。無意識に行なっている舌の動きは、子供の頃に身につけないと意外に難しいものらしい。

しかし、皮をむくのが面倒くさいとか、種があるからという理由で、私がこの世で最も好きな「マスカット・オブ・アレキサンドリア」は、本場の岡山でも栽培面積が目に見えて減ってきている。

これは由々しき問題である。

シャインマスカットは、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」に「白南」というヨーロッパ品種を掛け合わせて2003年に広島で開発された。栽培が容易で種がないため、またたく間に緑色ブドウの代表にのし上がった。

その後も改良が加えられ、出始めよりは味も良くなったが、でも私の中ではまだまだ「マスカット・オブ・アレキサンドリア」のまがい物にすぎない。

そんなことを思いながらネットを見ていたら、私と同じような危機感を表明しているサイトに出会った。

「岡山果物カタログ」

この熱のこもった文章も合わせて読んでいただきたいと思う。ブドウ好きの多くが「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を愛していることがわかる。このサイトから直接購入も可能なようだ。

このブログを書きながら、私のこれからのミッションの中に、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を守るための活動を加えることに決めた。

何ができるかわからないが、まずはこのブドウのことを私自身が知ることから始めたいと思っている。

もし街で「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を見つけたら、1年に1房でいいので、購入して大切に食べていただけるよう多くの人たちに呼びかけていきたい。

また一つ、やることが増えてしまった。

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