<吉祥寺残日録>2度目の全米制覇!大坂なおみが教えてくれたもの #200913

コロナがなければ、今日9月13日に、三男の結婚式が行われるはずだった。

延期になったのは本当に残念だが、その代わりに、素晴らしいニュースが飛び込んできた。

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大坂なおみ選手が、2度目となる全米オープン優勝を飾ったのだ。

決勝の相手は、ベラルーシのアザレンカ選手。

最初に1セットを6−1で失ったが、徐々に調子を上げ、フルセットの末に逆転で勝利を掴んだ。

今大会の前哨戦で足を痛め心配されたが、試合を見る限り怪我の影響はほとんど感じられず、2年前とは違って堂々とした優勝だった。

まずは、心からの祝福を贈りたい。

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しかし今大会の大坂は、もはや単なるテニスプレーヤーではなかった。

今、アメリカ社会を分断している黒人差別の問題に真正面から向き合い、自らの姿勢をコート上でアピールしたのだ。

決勝までの7試合、彼女は毎回黒いマスクを着けてコートに現れた。

その黒いマスクには、白人警官らによって理不尽に殺された7人の黒人の名前が書かれていた。

「7枚のマスクでは、多くの犠牲者の名前をつづるのに足りないのを残念に思う。決勝に行って、全てのマスクを見せたい」

1回戦の勝利インタビューで彼女はそう語った。

「テニスプレーヤーである前に、私は一人の黒人女性だ」と言った彼女の言葉は、シンプルだが力強い決意に溢れ、世界中のメディアが彼女の声を伝えた。

この大会で大坂がアピールした7人の犠牲者とは、どんな人たちだったのか?

「ハフポスト」の記事をもとに、このブログにも記録しておこうと思う。

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1回戦、彼女のマスクに記された名前は、7人の中で唯一の女性であるブレオナ・テイラーさん。

ケンタッキー州ルイビルの26歳の救急救命士だった彼女は、今年3月13日深夜、麻薬事件の捜索で自宅に押し入ってきた警察官に射殺された。麻薬事件の捜査対象は、テイラーさんではなくその場にいなかった別の容疑者だった。

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2回戦のマスクに書かれていたのは、23歳のマッサージ療法士だったエライジャ・マクレインさん。

2019年8月24日の夜、コロラド州オーロラで、コンビニからの帰宅中に3人の警察官に呼び止められた。スキー帽をしている不審な人物がいるという通報があり、マクレインさんは抵抗したと理由で地面に押さえつけられ、けい動脈圧迫で死亡した。

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3回戦では、ジョージア州ブランズウィックに住む25歳の青年、アマッド・アーバリーさんのマスクで登場した。

今年2月23日午後1時ごろ、彼は近所をジョギングしていて白人の親子に殺された。親子は、マグナム弾とショットガンを掴んでトラックでアーバリーさんを追いかけ、口論した末に射殺した。父親の方は引退した元警察官だった。

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4回戦のマスクに書かれていたのは、フロリダ州マイアミで母親と暮らしていた17歳の高校生、トレイボン・マーティンさん。

2012年2月26日、コンビニの帰り道、白人の男と口論の末射殺された。署名運動の結果、ようやく男は逮捕されたが、無罪評決が下され全米に抗議活動が広がった。Black Lives Matter運動は、この時に生まれたのだという。

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ベスト8に勝ち進んだ大坂選手が、準々決勝で身につけたのは記憶に新しいジョージ・フロイドさんの名前が書かれたマスクだった。

ミネソタ州ミネアポリスで今年5月25日、フロイドさんは、偽造した20ドル札を使った容疑で拘束された際、警察官に膝で首を抑え付けられて「息ができない」と訴えながら死亡した。警察官は8分40秒に渡って膝で首を抑え続けた。

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準決勝まで進んだ大坂のマスクには、2016年7月7日に殺されたフィランド・カスティールさんの名前が。

彼は、ミネソタ州セントポール郊外で、車を運転していたところ警察官に止められた。警察官は「(銃を)取り出すな!」と声を荒げ、車内に向けて7発発砲し、うち5発が命中した。車内には恋人と4歳の子供が同乗していた。

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そして決勝戦、7枚目最後のマスクに書かれた名前は、タミル・ライス。オハイオ州クリーブランドに住む12歳の少年だった。

2014年11月22日、公園で模造銃を手に遊んでいたところ、通報で駆けつけた白人警官に銃で撃たれて死亡した。12歳の少年に対する警察の暴力に激しい抗議活動が起き、警察官に対する起訴が見送られ、さらなる怒りが広がった。

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大坂選手が世界に発信した7人の名前。

ただマスクを着けるという行為だけだが、スポーツ界ではとても勇気のいる行動だっただろう。

「スポーツに政治を持ち込むな」との主張は根強い。

彼女はきっとトランプ支持派などから多くの批判に晒されただろうが、結果的に彼女は7枚のマスクを全て示して見事に優勝を果たした。

彼女の勇気ある行動は、アメリカでも好意的に受け止められているとの報道を聞き、ちょっとほっとして嬉しくなった。

それにしても・・・である。

前回、初めて全米で優勝した頃の大坂なおみ選手は、メンタルの弱さが指摘される、まだ幼さが残る少女だった。

あれからわずか2年。

彼女は驚異的な成長を遂げた。

大舞台で世界中に向かって自らの主張をアピールする尊敬すべき女性に脱皮したのだ。

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自分たちが住む世界を良くするため、一人一人ができることをする。

そんな人間の良い部分を見せてくれた大坂選手に心から敬意を表したい。

テニス界のスーパースターであるとともに、発言し、行動するセレブとして、彼女の今後に大いに期待している。

ついでながら、ダイエット中の私の体重が、74キロを初めて切った。

半月に1キロのペースで体重が徐々に減っている。

志あるところ、道は開けるのである。

1件のコメント 追加

  1. dalichoko より:

    モハメド・アリ以来のヒーローとして扱われているようですね。
    彼女を見ているとこみあげてくるものがあります。
    素晴らしい方ですね。
    (=^・^=)

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