<吉祥寺残日録>2ヶ月半ぶりの帰省で目にした隠しようのない「衰え」 #210624

昨日から岡山に帰省している。

吉祥寺から羽田空港に向かうバスも、羽田から岡山に向かう全日空機も半分ほどの座席が埋まっていただろうか。

月曜日に二度目のワクチン接種を済ませた母の様子を確認するため、空港からレンタカーで母が暮らすマンションに直行した。

ワクチンを射った当日と翌日は腕が痛かったようだが、3日目になるともう痛みも消えたと元気な様子だった。

熱をこまめに測ったようだが、3分ほど上がっただけで買っておいた解熱剤も使わなかったらしい。

母は買い物に行きたいと言うので、車に乗せて天満屋グループのスーパー「ハピーズ」へ連れて行った。

食料品の買い出しとともに母のお目当ては仏壇に供える花を購入することだった。

母が暮らすマンションの周辺では、スーパーも花屋も撤退してしまい、マンションのすぐ下にあるコンビニが母の生活を支えているのが現状だ。

こうして私が帰省した時に、母を買い物に連れて行くこともすっかり恒例となった。

どこかへ旅行するよりも今はスーパーで買い物する方がずっと楽しそうである。

母の様子を確認した後、伯母の家に出向いた。

周辺の田んぼには水が張られ、すでに田植えが終わっている水田もある。

やっぱり日本人だからだろうか?

田植えが始まった田んぼを見ていると不思議と幸せな気分になってくる。

伯母の家に着いたのは午後2時ごろだったが、伯母はベッドで爆睡していた。

近づいても目を覚さない。

私はあえて伯母に声をかけずに、近所に挨拶回りをした。

私の顔を見るなり、近所の人たちは口を揃えてこう言った。

「おばさん、変わったじゃろう」

あれだけ働き者だった伯母が近頃外でほとんど見かけなくなったと言う。

みんな心配して、気をつけて様子を見るようにしているが、野菜を持って行っても「いらん」と拒まれるし、「余計なことせんでええ」と怒られるので家の中まで様子を見に行けないと、みんな同じことを言うのだ。

厄介な婆さんなのである。

それでもみんなが心から伯母を心配してくれていることはわかる。

ありがたいことだ。

たしかに、わずか2ヶ月半来ない間に、伯母の状況は目に見えて悪化していた。

家の中で、かつて嗅いだことのないような異臭を感じた。

最初は、伯母がお風呂に入ってないためかと疑ったが、原因は台所にあった、

調理をした鍋に何かのソースが絡みつき腐臭を放っていた。

炊飯器のお釜も水にさらしたまま何日も放置されていたらしく、水が淀んでこちらも臭っていた。

こんんことはこれまで一度もなかった。

伯母はとにかくメンツを重んじる人で、台所は常にきれいに掃除していた。

ぶどう畑も去年までとは違った。

剪定の作業を行なっていないため、房がありのままに長く成長し、ぶどうの粒は小さい。

とても商品になるぶどうではないが、人が手入れをしないとこういう風に育つのかと、これはこれで興味深いものがある。

近所の人が教えてくれた話によれば、伯母はたまに畑の姿を見せることはあるが、何も作業をせず地面に座ってぶどう畑を眺めているという。

伯母の畑は常にきれいに手入れされているというのが近所の評判だったので、みんなが伯母の異変をこの畑から感じていた。

家の裏庭で伯母は最近、野菜を作るようになっていたが、ここにもあまり来なくなったらしく、人参の花が咲き誇っていた。

一体伯母は何を食べているのだろう?

いろいろ聞いてみても、まともな会話にならない。

朝はパンにチーズとハムをのせて食べるのが日課になっているらしい。

しかし、昼と夜は何を食べているのだろう?

今日は私が買って行ったコンビニのいなり寿司を珍しく食べてくれた。

これまで伯母が好きそうなものを毎回買って行っていたのだが、いつも「わたしは要らん」と言って、シジミの味噌汁などを自分で作って食べていた。

そんな伯母がきょうは私が持って行ったコンビニご飯を食べたのだ。

逆にちょっと心配になる。

近所の挨拶回りから戻ると、伯母が昼寝から起きていて、農協の通帳を預かって記帳に行く。

これもついこの前までは伯母が毎月欠かさずに行なっていたルーティーンだった。

その足で、月に一回往診をしてくれているかかりつけ医にも立ち寄り、未払いとなっていた診察費を支払う。

伯母が長年診てもらっているお医者さんだが、前回の往診の際には、誰だかよくわからない様子だったとお医者さんが話していたらしい。

「あの人たちは面倒臭いな」

介護認定を受けて、時々自宅を訪ねてくるようになったお医者さんや看護師さん、ヘルパーさんたちのことを伯母はそう評した。

私たち夫婦が依頼したことはわかっているので、露骨に「やめてくれ」とは言わないが、本音では誰も家に来て欲しくないと思っているのだろう。

今日は偶然、伯母の家でヤクルトレディーに遭遇した。

聞くと、週一回、伯母の家にヤクルトを届けてくれているという。

その女性から聞いた話では、先週、伯母はお金の置き場所がわからなくなったらしい。

600円ほどを現金で支払うのだが、その払い方もわからない様子だったとヤクルトレディーの女性は心配そうに教えてくれた。

伯母の状況は、2ヶ月半の間に急速に悪化した。

そろそろ本気で施設も考えないといけないのかもしれない。

今週土曜にお医者さんが往診してくれる予定になっているので、まずはそこで相談することになるだろう。

最悪のケースも想定しながら、焦らず油断せず、伯母を見守るしかないというのが現在の状況だろうか・・・。

<吉祥寺残日録>岡山帰省5日目、伯母の家に介護認定の調査員がやってきた #210406

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