<吉祥寺残日録>母を連れてデパ地下で地域共通クーポンを使う #201005

「GO TO トラベル」を利用した岡山帰省の4日目。

今日は、87歳になる実母を連れて岡山の老舗デパート「天満屋」に行った。

実母が暮らすマンションは、近くのスーパーマーケットがずいぶん前に撤退し、日々の買い物が不便になってしまった。

普段はコンビニやミニスーパーで買えるものでまかなっているが、たまに天満屋まで出かけて、デパ地下で買い物するのが母の楽しみだった。

しかし、コロナ禍で外出がままならなくなり、天満屋に行く機会もすっかり少なくなっていた。

そこで、「GO TO トラベル」についてくる「地域共通クーポン券」が使える天満屋に、母を連れてこようとひらめいた。

歳をとるとあちこち連れ回すのも嬉しくないようで、外食に誘っても行かないという。

だから、いつも母が行っていた場所ならと思ったのだ。

天満屋の地下食料品売り場はとてもきれいでなんでも売っているが、さすがに値段は高い。

岡山県産の松茸も売られていたが、値段は五千円から1万五千円、クーポン券ではとても買えない。

それでも、物は良さそうだ。

天然物の岡山県産の鯛の刺身が1080円というのは、東京の感覚から言えば安い気もする。

やっぱり岡山に来ると、瀬戸内の魚は魅力的だ。

そんな天満屋の地下を、母は手慣れた感じで歩き、まず最初に野菜を少量ずつカゴの中に入れていく。

私が持っているクーポンは3000円分だったが、母はそんなことはあまり気にせず、久しぶりの買い物を楽しんでいるように見えた。

やっぱり女性は、買い物をすると生き生きしてくるようだ。

魚屋では、ねじり鉢巻のお兄さんと気楽に会話しながら品定めをしていく。

天満屋での母の買い物に付き合うのはこれが初めてだったが、母はただ安いだけのスーパーよりも、店員さんと話しながら一つ一つ納得して買い物をするのが好きで、時々デパ地下に通っていたんだと思う。

「いい物を、少しだけ」

そんな母の口癖を、これまで何度聞いたことだろう?

塩鮭を選ぶのも店員さんの意見を聞いて丁寧に品定めをした。

こうして自ら選んだ塩鮭を焼いた後、身をほぐして何回にも分けて少しずつ食べるのが母流である。

15分ほどで、母の買い物は終わった。

代金は全部で7000円ほど、やっぱりデパ地下の値段だ。

私の財布から3000円分のクーポン券を取り出す。

これで母の支払いは4000円ほどになった。

37%引きで買い物ができた計算だ。

食料品の買い物が終わると、母は仏壇に供える花を買って帰りたいと言った。

母にとって、亡くなった父の仏壇を整えることは、最も大切な日常なのだ。

毎日、食べ物や飲み物を供え、線香をあげる。

そして、仏壇に供える季節の花々には特に気を遣っているように見える。

母が選ぶ花はいつもセンスがいい。

決して高い花ではないのだが、ド派手な色の花は決して選ばず、落ち着いたシックな花をいつも選んで部屋を飾っていた。

近所にあったお気に入りの花屋さんが潰れた時には、とても残念そうで、それからは時々街中に出かけた時に必ず花を買うようになったらしい。

東京発着の「GO TO トラベル」が始まり、この週末、各地の行楽地は大いに賑わったとテレビでは伝えている。

旅行客にはやはり「地域共通クーポン」が好評のようだが、単にお土産を買うのではなく、面白くない。

私の場合は、こうして親孝行に使えた。

クーポンが利用できるお店を詳しく調べることで、クーポンの価値が一段と高める方法はいろいろありそうな気がする。

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