<吉祥寺残日録>月一農業2020年5月/マイ草刈機を買う #200521

岡山への帰省3日目。

朝から伯母の家に行き、農業の真似事をしてみる。

これが、私の伯母、今年88歳。

伯母がこの日予定していたブドウの「予防」を手伝うことにする。

私はよく理解していないのだが、ブドウの栽培というのはとにかくやたらに手間がかかるらしい。害虫や病気の予防のため栽培過程で何度か薬剤を散布するのだが、それを伯母は「予防」と呼ぶ。

黄色いタンクを背中に背負って、左手のハンドルを上下させて、薬剤をブドウの木にふりかける。

3種類の薬剤を混ぜて散布する溶剤を作るらしい。

参考までのその薬剤を教えてもらった。

殺虫剤の「スタークル」。

メーカーのサイトによると、【野菜、果樹、花に多彩な使用方法がある殺虫剤。
植物体内に浸透移行して速やかに効果を発揮。野菜のコナジラミ類、果樹のコナカイガラムシ、カメムシ類に高い効果】を示すそうだ。

殺菌剤の「フェスティバルM」。

こちらは、【べと病、疫病に高い効果を示すジメトモルフと汎用性殺菌剤マンゼブとの混合剤。既存薬剤耐性菌に対しても優れた効果を示すので、ローテーション防除の一剤に組み入れると効果的】だという。

そして、殺菌剤の「ポリベリン」。

こちらは、【現在問題になっている灰色かび病、うどんこ病耐性菌に対し卓越した効果を示し菌核病、つる枯病、斑点落葉病、黒斑病などにも高い効果があり、同時に防除ができる】そうだ。

私にはよくわからないが、伯母はこの3種類を一緒に水で溶いて黄色い液体を作った。

これを柄杓で噴霧用のタンクが満タンになるまで入れ、それを背負う。

結構な重さである。

これを90歳近い伯母がやっている。本当に大変だが、これが日本の農業の現状なのだ。

伯母に代わって私がタンクを背負って、ブドウの「予防」に挑戦する。

伯母は数年前からブドウの出荷を徐々に減らし、去年からは完全に自家用だけにブドウを作るようになった。

多くの葡萄棚を倒し、わずかに残ったブドウの棚に溶液を散布していく。

作業自体はいたって簡単なのだが、困るのは棚の高さが伯母の身長に合わせて作ってあるため恐ろしく低いこと。

仕方なく針金の間から頭を出して作業をするのだが、横に移動するたびに針金に引っかかり、それに首を引っかけないよう中腰になって移動すると、必要以上に疲れる。

ちゃんと溶液がかかっているか確かめようと覗き込むと、噴霧した液体が顔にかかってしまう。これって、体にどうなのだろう?

ブドウの「予防」が終わって、さて、前日の課題に取り組もう。

近所の人からもらいうけた草刈機である。

長く使っていない草刈機があるというので、伯母の口利きでもらってきたのだが、燃料を入れてエンジンをかけようと思っても全然かからなかった。

日を改めて、再びトライ。

しかし、やはりエンジンはかからなかった。

「もらった草刈機どうしよう?」

伯母に聞くと、「動かないんなら、返せばええが」と言う。私は伯母の人間関係を心配して、一旦もらった草刈機を返却することを躊躇していたのだが、伯母の答えはいたってシンプルだった。

「じゃあ、返してくる」と言って私は前日草刈機をもらった近所の家に返しに行った。

その家のおばさんは、私の再訪にちょっと驚いたようだったが、動かなかったことを伝えるとひどく恐縮してくれた。ご迷惑をかけたのはこちらなので、私の方が恐縮したが、私の心配は杞憂で終わり問題はあっさり解決した。

「よし、これで新しい草刈機を買いに行ける」

私は早速、最寄りのホームセンターに向かった。

前日にこのホームセンターに一度来たので、草刈機が売られている場所にまっすぐに向かう。

それにしても、岡山のホームセンターは多くの客で賑わっている。

駐車場もほぼいっぱいだ。

ありました、草刈機。

左手にぶら下がっているのが、従来のエンジン式。パワーは強く、長時間の作業ができるが、振動と騒音が大きく、手入れがちょっと面倒だ。

そして右手に立てかけてあるのが、私のお目当て、電動式の草刈機だ。

充電式のバッテリーで動かす電動草刈機。

真ん中に置かれた一番人気の機種は品切れで、一番左の少し高価なパワフルタイプの草刈機を選んだ。

京都の「工進」という会社の充電式草刈機「SBC-3650」である。

早速持ち帰り、土間の上で箱の中身を取り出してみた。

この草刈機の特徴は、持ち運びに便利なように2つに分割できること。従来の草刈機は車に積むには長すぎたが、これなら小型乗用車にも積み込むことができる。

説明書を読みながら、草刈機を組み立てた。

何せ初めてのことなので、20分ほどかかったと思う。

重量は5.3kgほどだ。

それに並行して、バッテリーを充電する。

使用開始時には、とにかくフル充電する必要があるそうだ。

バッテリーは大きいが、充電のやり方は普通の電気製品と変わらない。家庭用のコンセントに差し込むだけ。エンジン式に比べ、圧倒的に簡単だ。

充電が終わったら、さあ準備完了。

バッテリーを草刈機に取り付けて、いざ畑で出動だ。

挑むのは、雑草に覆われた元ブドウ畑。

去年の秋、ここに小さな小さな畑を作ったのに、もうその位置さえ見分けることができないほど一面雑草に覆われてしまった。

このまま放置しておくと、夏にはどんでもないことになりそうだ。

草を刈ること1時間。

この草刈機、3時間の充電で最大5時間使うことができるらしい。

少し機械の扱いにも慣れてきて、畑の4分の1ぐらいの草を刈った。

やってみて初めてわかることも多く、草の種類によって刈りやすい草と刈りにくい草がある。

セイタカアワダチソウのような草は簡単に刈れるが、ツルがからまったような細い草は手強い。草刈機に絡みついて、切れているのかどうかさえ、よくわからない。

そうして雑草をなぎ倒していると、その中にネギの姿が見えた。

「おっ、これは私の作った畑ではないか?」

雑草の中で、私のネギは生き残っていた。

さらに・・・

周囲を探ると、小さいながら大根や人参も発見。

すでに大根のタネが育ちつつあるので、果たして食べられるかどうか?

コロナのせいで収穫が遅くなってしまったが、雑草に負けず、土の中でしっかり生きていた。

やっぱり、自然はたくましい。

そんな感慨を抱いていたら、ハプニングが発生した。

草刈機の一番のリスクは、草の下に隠れている石などで、硬いものに触れると、その反動で機械が跳ね飛ばされる「キックバック」という現象が起きる。

とても危険な現象だ。

この日も、草を刈っていると、草の下にコンクリート製の支柱が隠れていたり、支柱を支えるための太めの針金が潜んでいたりした。

キックバックは起きなかったが、大きな金属音と共に草刈機が止まった。

安全装置が働いたようだが、再び電源を入れ直して作業を続けていると、トドメを刺される事態が起きた。

繁茂する雑草に絡みつかれ、チップソーと呼ばれる回転刃が落っこちてしまったのだ。

いろんな衝撃が加わる中で、刃を固定していたネジが徐々に緩んでいたのだろう。

でも、試運転としては1時間もやれば十分だ。

焦らず、少しずつやればいい。

草はどんどん生えてくるが、こっちも遊びでやっているだけだ。

冬はチェーンソーで竹を切り、夏は草刈機で草を刈る。

作物を育てるよりも、こっちの方が私には性に合っているように感じる。

草刈機という新しい「おもちゃ」を手に入れ、とてもハッピーな1日となった。

コロナに負けず、のんびりと、月一農業を再開しようと思っている。

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