<吉祥寺残日録>感染拡大警報と「GO TO キャンペーン」 #200718

「コロナ慣れ」した社会で、コロナが広がっていく。

東京でも、世界でも、人間の行動や選択の結果として、感染者数は確実に増えていく。

本当に、厄介な病である。

東京は今日も雨。

梅雨とはいえ、こう毎日雨だと気が滅入ると妻のぼやきが止まらない。

東京では観測史上最も長い降水の記録だというニュースも見たが、確か映画「天気の子」が大ヒットした去年も33日連続降水の新記録だった記憶がある。

そんな雨の吉祥寺を眺めていて、「あれっ」と思った。

何か違和感がある。

しばらく、眺めていて、気がついた。

丸井の看板が・・・ない。

6月9日撮影

比較のために先月撮影した写真を探し出して比べてみる。

やっぱり、屋上にあったあの巨大な看板がなくなっていたのだ。

望遠で撮影すると、今日も屋上で作業をしている人影も確認できた。

東京に雨が降り続いたこの梅雨の期間に行われた解体作業。しかも、コロナ対策も講じなければならない。

さぞ、ご苦労だったことだろう。

新型コロナウィルスは、夏になれば感染力が衰える、湿度にも弱いはずだ、などという話を専門家から聞いた記憶があるが、結局この長雨に中でもコロナは元気いっぱいである。

東京の感染者数は一昨日が286人、昨日が293人、そして今日は・・・?

1日の新規感染者数としては4月のピークを大きく上回って推移している。

小池都知事は、「感染拡大警報」という新語を使って都民に警戒を呼びかけた。

「あれっ? 東京アラートじゃないんだ?」と感じた人も多かったかも知れないが、次々に新語を繰り出す手法はメディアに身を置いていた小池さんらしいなと私は見ている。

マスコミは常に新しい現象、新しい言葉に飛びつく。

小池さんも新しい言葉を使うことで、都民やメディアの関心を引く作戦なのだろう。それに加えて、常に新しい言葉を使うことで自体は刻々と変化している印象を与え、過去と比較されてあれこれ批判されることを防ぐ効果があるかも知れない。

東京都では、感染対策を徹底している飲食店に虹色のステッカーを配布して、外食するならこうしたお店を利用するよう呼びかけている。

しかし、吉祥寺の街を歩いていても、このステッカーが貼られたお店はほとんど見ない。

それでもランチタイムには、ステッカーのない店の前に行列ができていて、市民の意識は4月や5月と比べて、すっかり緩んでいる印象を受ける。

コロナ対策か経済かで世論が揺れる中、物議を呼んでいるのが政府が推進する「GO TO トラベルキャンペーン」である。

コロナの感染が収束した後に経済のV字回復を狙う経済対策として安倍政権が打ち出した「GO TO キャンペーン」だが、どういう力学が働いたのか、予定を前倒して今月22日からスタートすることになった。

せっかくなら7月の4連休から旅行に行ってもらおうと欲張ったんだろうが、タイミング悪く、東京都の感染者数が目に見えて増えてしまった。

地方の知事からは懸念の声が上がり、小池都知事もアクセルとブレーキを同時に踏もうとしている政府を皮肉った。

困った政府は、「東京都だけを除外する」という判断を下した。

東京都への旅行、および東京都民の旅行は、「GO TO キャンペーン」の対象にならないと発表したのだ。

東京都心にある同じオフィスに通勤していても、東京都内に家がある人はダメで、神奈川や埼玉から通っている人はOKというやや強引な決定だ。

直前に打ち出された「東京排除」の決定は、補助を当て込んで予約していた都民や旅行会社に混乱をもたらした。発表直後からキャンセルが殺到したが、キャンセル料は補填されないという。

私もこのキャンペーンを利用して、今年はホテル滞在型の国内旅行と考えていたところなので、危ないところだった。

再び繰り返された政府のドタバタ劇。

新型コロナという病の厄介さと言えばそれまでだが、どうも政府の焦りを感じる。

私としても、観光業界を少しでも支えたいという気持ちはあるが、政府によってあらかじめ決められたスケジュールで行動を決めるのにはためらいがある。

その時々の状況を自分なりに判断しながら、できるだけリスクの少ない行動を心がけたいと考えている。

私は明日から、3泊4日の予定で再び岡山に帰省することにしている。

親たちの様子がかなり怪しくなって来ていて、そろそろ老人ホームの話も出始めている。

予想した通りとはいえ、本格的な介護の日々が目の前に迫って来た感じだ。

岡山で暮らす年寄りたちにウィルスを持ち帰らないよう、私もずっと吉祥寺から出ずに暮らしている。

吉祥寺がある東京・武蔵野市のホームページに、市内での感染者数が掲載されているのを最近見つけた。

7月16日現在の感染者数は累計で36人。

これだけ人の行き来が激しい首都圏で、一つの自治体の数字を気にしても仕方がないのかも知れないが、吉祥寺から出ずに暮らしている私にとっては東京都の数字よりもこちらを気にかけている。

こうやって、一人一人が自分なりにできる努力を行なって、感染を広げないようにする以外に、この病と共存していく道はないのではないだろうか?

明日もなるべく人との接触を少なくするよう、朝一番の飛行機で岡山に飛ぶ予定だ。

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