<吉祥寺残日録>トイレの歳時記🌻七十二候「乃東枯(なつかれくさかるる)」、夏至に家族写真を飾る #210621

今日は夏至。

一年で最も昼間が長い1日だが、昨日出席した三男の結婚式で久しぶりにたくさんの家族写真が撮れたんで、岡山のじいちゃんばあちゃんにも見えてあげようと思い、写真を選んでプリントアウトするなどして過ごした。

笑顔の写真が心を弾ませてくれる。

二十四節気「夏至」の初候といえば、「乃東枯(なつかれくさかるる)」という。

その意味は「カコソウ(夏枯草/シソ科のウツボグサ)が枯れ始める頃」である。

「カコソウ」「夏枯草」「ウツボグサ」?

どれも同じ植物の名前のようだが、どんな草なのか見当がつかない。

ネットで調べると、どうやら上の写真が「ウツボグサ」のようだ。

井の頭公園では一度も目にしたことがない。

春に咲く「ホトケノザ」に似ているが、「ウツボグサ」の花が咲くのは夏。

この花が枯れた頃に摘み取り天日干ししたものが「夏枯草」という漢方薬になる。

利尿剤やうがい薬として効果があるらしく、それゆえに七十二候にも採用されたのだろう。

夏至の井の頭公園を歩く。

池の表面を「ツツイトモ」が覆い、すっかり夏の装いである。

水中に繁茂した水草は様々な生き物の住処となり、「カイツブリ」の雛たちにとっては絶好の潜水訓練や捕食の練習場となっている。

夏草が生茂る山野草エリアでは、激しい縄張り争いが続いている。

この時期に咲く花はほとんどないが、雑然とした草の間から蔓を伸ばして「ヒルガオ」の花がポツリポツリと咲いていた。

昼ごろからは、青空も広がってきた。

ヒツジ雲を通して太陽の光がほぼ真上から降り注ぐ。

今日の昼すぎ、岡山で一人暮らしをしている母が二度目のワクチン接種を受けた。

夕方になっても電話がかかってこないので、ちょっと心配になってこちらからかけると元気そうな声が出た。

自分で予約をし、自分でタクシーを呼んで無事にワクチン接種を受けてきたという。

もしものことも想定して解熱剤を調達し、数日分の保存食も用意するなど、88歳ながら周到に準備を整えたようだ。

母は楽観的なA型人間であり、私はその母の遺伝子を多分に受け継いでいる。

そして私の遺伝子が確実に子や孫に伝わっていることは、彼らのちょっとした仕草や行動から感じることができる。

どんなに文明が発達しようとも、命をつなぐという生物の本質から人間も逃れることはできないのだ。

明後日から岡山に帰省するにあたり、昨日の結婚式の写真を何枚か持っていって母に見せてあげるつもりだ。

母の家には孫やひ孫たちの写真がたくさん並んでいる。

2人の息子を産んだ母は、6人の孫と6人のひ孫に恵まれた。

下手な東京土産よりも写真の方が何倍も嬉しいようで、「おじいちゃんにも見せてあげたかった」と言いながら父の遺影の真向かいに子孫の写真を飾るのだ。

我が家でも早速、昨日撮影した家族写真を飾った。

妻は、結婚式で息子から贈られた大量の花を花瓶に活ける。

普段は質素な部屋の中が急に華やかになった。

三男夫婦に子供ができるかどうかはわからないが、昨日撮った写真を眺めながら、少子化の時代に本当に幸せな家族だとつくづく思うのである。

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夏至といえば、日本では伊勢の夫婦岩で催される「夏至祭」が有名だそうだ。

夏至の頃、夫婦岩の2つの岩の間から太陽が昇る。

毎年夏至の夜明けに合わせて多くの人たちが海に入り、朝日を浴びながら禊を行うのだ。

残念ながら今年は、コロナの影響で伊勢の「夏至祭」も中止となったらしい。

それでも嘆くには当たらない。

明けない夜などないのだから・・・。

来年にはきっと、例年通りの祭りができるだろう。

そして一旦終息してしまえば、パンデミックの記憶もいつの間にか風化してしまう。

100年前のスペイン風邪と同様に・・・。

人の噂なぞ、所詮その程度のものなのだ。

目先のものにおびえ、過ぎ去るとすぐに忘れてしまう。

大切なのは、ヒステリックに騒ぎ立てることではなく、穏やかな心を持って襲い来る様々な危機を乗り越え、命を繋いでいくこと。

それだけのことなのだ。

新たに飾られた家族写真を眺めながら、私は今日つくづくそう確信した。

<吉祥寺残日録>トイレの歳時記🌻七十二候「蚯蚓出(みみずいづる)」、三男の結婚式の行方 #210510

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