<吉祥寺残日録>トイレの歳時記❄️七十二候「水泉動(すいせんうごく)」に考えるステイホームの過ごし方 #210110

今日1月10日は、七十二候の「水泉動(すいせんうごく)」。

「泉の水が温かみをもつ頃」と我が家のトイレにぶら下げたカレンダーには添書きがしてあった。

カレンダーを眺めながら、こんなに寒い時期に本当に泉の水が温かくなるのだろうかと疑問に感じたので、ネットで調べてみることにした。

すると「水泉動」は、「しみずあたたかをふくむ」と読むのが一般的らしく、その意味は『冬至を過ぎ徐々に日が長くなって来て、その太陽の光によって大地が温められ、凍っていた泉が動き出す』というようなことらしい。

井の頭公園には「お茶の水」という泉があって、こんな立て札が立っている。

『井の頭池は豊富な湧き水に恵まれ、かつては三宝寺池、善福寺池ともに「武蔵野三大湧水池」と呼ばれていました。徳川家康がこの池の湧水を関東随一の名水とほめてお茶をいれたという伝説から「お茶の水」という名が付いたともいわれています』

季節によって水量が変化するこの泉だが、今日は泉から流れ出る水がかなり多いように見えた。

東京ではこのところずっと雨が降っていないので、きっと地下に溜まっていた水が湧き出しているということなのだろう。

肌に感じる空気はますます冷たくなる季節だが、目に見えない地下では春に向かって密かに時が動き始めている?

そう考えるとちょっと前向きな気持ちにもなれるというものだ。

とはいえ、今年の「水泉動」は緊急事態宣言が出て、人間はますます動きづらくなってきた。

旅行もダメ、岡山に帰省して畑をいじるのもダメ、年取った親たちの見守りもままならない。

コロナさえなければ日本海側の大雪の現場にも行ってみたいし、今年10年を迎える東北の被災地の様子も見てみたい。

被災地といえば、福島の被災地に嫁いだ私の姪が昨年末に赤ちゃんを産んだので、赤ん坊の顔も見てみたい気がする。

さらに、妻の両親を世話してくれている義弟が昨年末に大怪我をして、12時間に及ぶ大手術を受け入院した。

妻は心配して毎日実家に電話をかけて両親の世話を焼いているが、所詮は離れた場所からできることは限られていてイライラが募っているようだ。

しかし、今は我慢の時。

よほどのことが起きない限り、ステイホームを守るのが一人一人に求められる行動なのだろう。

それならせめて、このステイホーム期間を有効に使いたいものだ。

ステイホームに関連して、先週テレ朝の「報道ステーション」で見たアーティストのインタビューが面白かったので書き残しておきたい。

インタビューを受けていたのは、女性ミュージシャンの「yama」。

私は初めて聞く名前だ。

去年4月に初のオリジナル楽曲「春を告げる」をリリースし、音楽配信サイト「Spotify」の「バイラルトップ50(日本)」で1位となり一躍注目された。

それは、こんな曲である。

私が彼女のインタビューに引き付けられたのは、この曲の作り方がいかにもコロナ時代だったからだ。

曲を作ったのは、ボーカロイドプロデューサーの「くじら」という男性。

彼が、自分で作った曲のヴォーカルを探していて、ネットで見つけた「yama」の声が気に入り依頼した。

「yama」は自分の部屋で「くじら」の曲に歌を吹き込んだ。

その間2人は一度も会っておらず、見ず知らずの2人でヒット曲を完成させたということらしい。

まさにステイホーム時代の新しい曲作り、オンライン上のやり取りだけでも素敵な曲が作れるというのは、コロナが切り開いた新しい時代を象徴しているように感じた。

そうなのだ。

今は動けなくても、いつか必ず自由に動ける時は来る。

「水泉動=しみずあたたかをふくむ」。

凍っていた泉が解けだすように、今は将来のために静かに栄養を蓄える時なのだ。

焦らず、今できることをやればいいのだ。

良質なテレビ番組や映画をたくさん見て、本を読んで、あれこれ自分の頭で考えて、いつか自由に行動できるようになった時に何をしたいか、たくさんのアイデアを練るいい時期なのである。

私は昨日、ずっと以前に録画していた映画「マディソン郡の橋」を見た。

ちょっと懐かしかった。

この年末年始には、「アメリカングラフィティ」も何十年ぶりかに見た。

すごく懐かしかった。

水上勉原作の映画「飢餓海峡」を初めて見て、私が生まれた頃の日本の貧しさを再確認もした。

私は昔、映画少年だった。

部屋中に映画のポスターを貼っていた中学・高校時代、オールナイトの名画座に頻繁に通った大学時代。

今、有り余る時間を使って、若かりし日に戻ったつもりで好きな映画にどっぷり浸かるのもいいかもしれない。

去年立てた目標だって、まだクリアできていない。

たとえば、体重を70キロまで減量すること、トラック2周を3分以内で走ること。

短い脚を不器用に動かしながらトラックを嬉々として走る保育園児たちの姿を見ながら考えた。

昨日までできなかったことができるようになる、それだけで喜びを感じる幼子の心を取り戻せたら、どんなに日々が楽しいだろう。

「水泉動=しみずあたたかくうごく」。

こうして考えていると、七十二候は実に示唆に富んでいるように感じる。

今年に入って、タイムウォッチを使ってルービックキューブを全面揃えるタイムを計ることを始めたのだが、昨日初めて目標の3分をクリアすることができた。

去年の緊急事態宣言の頃に始めたルービックキューブ。

これもステイホームの成果とも言えるが、世界記録はなんと3.47秒だという。

世界記録など考えも及ばないが、自分で立てた目標に向かった、今はただ、今できることを楽しんでやるだけだ。

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