<吉祥寺残日録>コロナに感染したトランプ大統領の強引な退院 #201006

「GO TO トラベル」を利用した4泊5日の岡山への帰省から戻ってきた。

最終日の今日は、午前中特に予定がなかったので、海を見たいと思い車を走らせた。

岡山市の南部は、児島湾という入江に面している。

児島湾大橋を渡って対岸に渡ると、目の前に入江を望む長閑な集落に出た。

この集落の名前は「阿津」と言う。

かつては漁業が盛んだったのだろうが、今では漁師町の風情はほとんど感じない。

このひっそりとした集落に来たのは、ここが伯母の出身地だからだ。

フェリーや貨物船が時折通り過ぎるこの児島湾だが、かつては多くの渡し船が対岸の岡山市内との間を行き交っていたらしい。

伯母は、そんな集落の網元の娘として生まれた。

勉強もできたようで、当時の女性としては珍しく市内の女学校にも通った。

まさか、海と縁のない農家に嫁ぎ、旦那を早くに亡くして一人で残された農地を守って一生を過ごすとは娘時代には考えもしなかっただろう。

伯母が生まれ育った集落に立ち、そんなことを考えながらしばらく海を眺めた。

私が岡山に帰省していた間、いろんなニュースがあった。

中でもビッグニュースは、トランプ大統領のコロナ感染。

ニュースは一瞬にして世界を駆け巡り、「それ見たことか」「自業自得だ」などなど様々な批判の声が上がった。

個人的には、想定の範囲内としか言いようがないが、今後の影響も大きいので、事の経緯を少し書いておこうと思う。

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トランプ大統領のコロナ感染が明らかになったのは、10月2日の未明。

大統領自らツイッターで、メラニア夫人とともにコロナウィルスの陽性反応が出たことを明らかにしたのだ。

全米のメディアは夜を徹して特番を放送し、世界中の注目が集まる中で、2日の午後にはトランプさんは軍の病院に入院し、報道は一段と加熱した。

上の写真は、大統領専用ヘリ「マリーン1」で病院に向かう際のトランプ大統領。

その表情は、いつもに比べて暗く、どことなく不安気に見えた。

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入院後も、大統領サイドからの情報発信が続いた。

わざわざ院内で執務している写真を公開したり・・・

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病院前に集まった支援者たちの前に、車に乗ってサプライズで登場したり・・・

とにかくコロナ感染を少しでも選挙戦に有利に利用しようと、最大限の話題作りに励んでいた。

本当にトランプさんの頭の中には、大統領再選のことしかないのだろう。

選挙直前にコロナに感染した失態も、なんとか逆手にとって、有権者に対し「強いリーダー」をイメージづける方法はないかと、必死に足掻いているのが見えすいていて、ちょっと悲しい気分にさせられた。

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そんな見えすいたトランプ演出の中でも、一番力が入っていたのが5日の退院劇だった。

3大ネットワークのニュースの時間に合わせて病院から姿を現したトランプさんは、ヘリコプターで夕暮れのホワイトハウスに降り立った。

この模様はアメリカだけでなく、日本でもライブ中継されたのだ。

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ホワイトハウスのテラスに一人で立った大統領。

おもむろにマスクを外す。

そして、飛び去るマリーン1の方を向いて、颯爽と敬礼をしたのだ。

その時、私にはトランプさんが顔にドーランを塗っているように見えた。

カメラ写りを良くするために、役者などが顔に塗る化粧のことだ。

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案の定、このテラスでのトランプ大統領の姿は、何台もの公式カメラで撮影されていた。

夕暮れのホワイトハウスでの大統領とヘリコプターの映像は、格調高い音楽をつけて格好いいクリップ映像に編集され、トランプさんのツイッター上にアップされた。

きっと、入院したトランプさんは、どうすれば自分が「強い指導者」に見え、選挙戦に有利になるかを必死で考えて、出した答えがこれだったのだろう。

常識ではありえない3日目の退院。

おそらくトランプさんが強硬に要求し、あまりの強引さに医師団もそれに従わざるをえなかったのだろう。

本当に、すべてが作り物。

底の浅い、紛い物の大統領である。

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しかし残念ながら、アメリカ国内にはそんな陳腐な演出を喜び熱狂的に支える支持者がたくさんいる。

そして、株価も然り。

トランプさんが入院すると株が下がり、退院すると上がるのだ。

国民の多くが株に投資し、株価の動向が個人生活に直接影響するお国柄なので、ここ数日の株価の動きを見て、やはりトランプさんの方が株価には有利だと判断する有権者がいるのではと心配になる。

そこには何の哲学もなく、あるのは目先の利益だけだ。

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そういう意味では、トランプさんの病状の推移もさることながら、アメリカの有権者が今回のトランプ劇場をどのように見たのか、その心の動きの方が気になるところだ。

本当に、いろんな人生がある。

トランプさんのような人物も、端から観ている分には面白いが、真面目に生きようと努力している世界中の人々から見ると、彼の言動はあまりに不道徳で、真面目に努力するのが馬鹿馬鹿しくなってくる。

従来の倫理感は、トランプさんの出現によって確実に蝕まれているように感じられる。

もっと尊敬できるリーダーはいないものだろうか?

1件のコメント 追加

  1. wildsum より:

    同感です。彼はピエロのようです。お笑い草です。彼の言動が大勢の人を死に追いやったこと、自らも危険な状態になったことを思えば、笑えるが憎むべきピエロです。ただ、頬が少しこけているようにも見えて、死期が近づいているようにも感じます。もっと長生きして反面教師であってほしいと思います。

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