家族の肖像

お正月は家族で集まってランチを食べて家で遊ぶ、それが我が家の恒例になっている。

総勢11人。

今年は年末に完成したばかりの次男の新居にみんなで押しかけた。

住宅ローンをたっぷり借りて建てた一戸建てはまるでモデルハウスのようだった。ちゃんと返済できるのか少し心配ではあるが、住宅販売の仕事をしている次男としては人生で叶えたい最優先の課題だったんだと思う。

よく頑張っているなと思う。

新居の前で全員そろって家族写真を撮った。一枚は孫が横を向いていたが、二枚目に撮った写真はみんな笑顔で幸せそうな写真が撮れた。岡山の母たちにも送ってやろう。

次男の家に行く前に立川でランチを食べた。久しぶりに会った孫たちは最初固くなっていたが、長男の娘(A2号)がお姫様のフィギュアをたくさん取出したところから、次男の長女(N1号)が興味を示し、幼稚園児2人の交流が始まった。

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食後にはすっかり仲良くなったようで、ずっと手をつないで次男の家まで行った。2歳になった次男の次女(N2号)も加わって3人が手をつないで歩く姿は微笑ましい。

家についてからも離れる様子はなく、一緒に走り回って滑り台をすべり、カルタを競った。今後、成長するに従って従兄弟の絆はますます強まることだろう。完全に男系だった我が家に女系勢力の時代がやってくる気配だ。

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ちょっと話は変わるが、この日の朝、BSで「真田丸」の総集編をやっていた。去年1年間、毎週欠かさず観たNHKの大河ドラマだ。

戦国の乱世を独特の才覚で生き抜いた真田家の物語は無類の面白さがある。

このドラマの中で、主役の真田幸村以上に私を惹き付けたのが、幸村の父・真田正幸と天下人・豊臣秀吉だ。この2人の発想力は群を抜いている。

徳川・上杉・北条という強国に囲まれた信濃の地で、誰も考えつかないような奇策で一族を守った正幸はとても魅力的だ。

そして群雄割拠の大名たちをひとつの組織にまとめあげた秀吉の構想力がなければ、天下統一は成し遂げられなかったであろう。それは信長にも家康にもできない秀吉ならではの発想力だった気がする。

この時代、めまぐるしく変わる勢力図の中でひとつの判断を間違えると、それは一族の滅亡を意味した。一族を守るために、あらゆるプライドを捨てる必要があった。すべての選択肢を比較検討しながら、最後は運を天に任せる。そんな生き方に何度も共感した。

今の世の中の閉塞感は、みんながお互いに選択肢を狭めあって、不寛容になっていることに原因がある気がする。おおらかに柔軟に生きていきたいと改めて思った。

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真田家に比べれば平穏そのものの我が家でも、35年に及ぶ子育てを振り返るといくつもの分岐点があった。

長男は美術系専門学校でウェブデザインを学んだ。

まだ学生の頃、私が長男を誘って年賀状印刷のネットショップを始めた。長男が年賀状のデザインとサイト構築を行ない、注文が来たら、妻がプリンターで印刷して発送した。私もビジネスのプランを練り、時間がある時は印刷を手伝った。文字通りのファミリービジネス。当時はまだ競争が激しくなかったので、それなりに注文が入った。

申、酉、戌、亥。4年間続けた。あれから干支が一回りした。

長男はその後、音楽関係の人と知り合い、ミュージシャンのウェブサイトを作るようになった。誰もが知る有名アーティストのサイトをいくつも担当している。自分の会社を作り、スタッフを雇うこともせずに、一人でコツコツ仕事を続けている。

そんな長男の会社も設立から10年以上経過した。自分の会社を10年維持することを容易なことではない。本当に頑張ったと思う。

そして長男の結婚は突然だった。まだ学校を出たばかり。将来どうやって生きていくのか、どうやって稼ぐのかまったく見えていない時期だった。

最初息子から話を聞いた時は正直驚いた。相手の親御さんが認めてくれるとは思わなかった。経済力のない男に娘さんを嫁がせてくれるのか。反対されるだろうと予想したが、意外にすんなりと認めてくださった。しかもお嫁さんは、息子にはもったいないような素敵なお嬢さんだった。落ち着いていて自然体なところが特に魅力だった。こんな女性がなぜ息子を選んだのか、と思った。

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次男は、住宅販売会社に就職した。

新人の時、指導を受けた上司はとても厳しい人だった。ちょっと軟派なイメージだった息子が、ある日突然リーゼント姿で現れてびっくりした。へらへらした息子の精神を叩き直すため、見た目から指導しようということだったのかもしれない。

そもそも次男が住宅関係の会社を受けたのは、私の一言も影響しているかもしれない。私は若い頃から引っ越しが好きで、不動産にも興味があった。そして、次男の就活の際、「自動車や飲料のような完成した商品を売るよりも、不動産のようなひとつひとつ違う商品を扱う方が面白いかもしれない」などとアドバイスした記憶がある。

しかし、家なんてそんなに簡単に売れるものではない。しかも土日も休めない。息子の話を聞きながら変なアドバイスしたかなと思い、「もし転職するなら早い方がいいかも」などと話したこともあった。まったくもって無責任な父親である。

それでも息子は厳しい新人時代を乗り越え、一人前の営業マンになった。最近ではかなりのペースで家が売れているらしい。社長賞も受けたようで、発言にも自信が感じられるようになった。

次男のお嫁さんは、学生時代に知り合った同じサークルの後輩だった。笑顔のかわいい明るく快活なとってもチャーミングなお嬢さんだ。学生時代からつきあい始め、お嫁さんの実家にも頻繁に泊めてもらっていた。親公認のおつきあいをしていた。それでも、就職後忙しくなり、一時疎遠になった時期もあったようだが、結局元のさやに戻って結婚した。

「子どもたちがなかなか結婚しない」と悩む親が多い時代。こんなに素敵なお嫁さんたちを迎え、子宝にも恵まれた我が家は、本当に感謝しなければならない。

年子で生まれた長男と次男。中学・高校時代には、お互いに一言も口をきかなくなった。年の離れた三男を介して会話する変な状況がかなり長い間続いた。私は忙しさのピークの頃で、家の事は妻に任せきりだった。妻には本当に苦労をかけてしまった。

今春、三男が就職して長かった我が家の子育ても終わる。

3人の息子を呼んで、一度居酒屋に行きたいと思っている。そして、妻に感謝の気持ちを伝えたいと思うのだ。

本当に長い間、子育てご苦労様でした。今、こんなに幸せな家族を眺められるのも、すべてあなたの努力と我慢のおかげです。本当に、ありがとう。

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日が暮れて、次男の家を後にする時、三日月と金星が並んで夜空に浮かんでいた。

妻と私。本当の二人の暮らしがこれから始まる。

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