ライフプラン

最近、妻がストレスを貯めている。どうやら原因は私らしい。

「昔に比べて暇になって、家のことに口を出すようになった」と言うのだ。善かれと思って提案したことを悪意に取られている気がする。夫の定年が妻のストレスになる。よく聞く話だ。気をつけねばならない。

きょう会社で、ライフプランセミナーを受けた。55歳以上のシニア社員を対象にしたセミナーだ。定年後の再雇用や年金のことなどの説明があった後、証券会社のファイナンシャルプランナーの話を聞いた。その中からいくつか面白いデータを書いておきたい。

まずは平均余命。60歳まで生きた日本人の残りの人生は、男性24年、女性29年だという。当然のことながら平均寿命より長くなる。そして、60歳まで生きた男性の4分の1は90歳まで生きる。女性の場合は60歳まで生きた人の半数は90歳まで生きるのだ。

私が意識している「長生きのリスク」だ。

健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことを「健康寿命」というが、日本人男性の平均は71.19歳、女性は74.21歳だそうだ。単純計算すると、健康でなくなってから10年ほど生きることになる。

年金については、基礎年金部分は65歳からの支給となる。各国の支給年齢は、イギリスは65歳、ドイツは67歳からに引き上げられた。ギリシャは財政破綻の前までは52歳から現役時代の8割に相当する年金が支給されていたが、破綻後一気に67歳からの支給に改められたそうだ。そして、各国の年金制度を毎年比較している機関があるそうで、それによると日本の年金制度は27カ国中26位と低い評価になっているらしい。問題は「持続性」。世界一のスピードで進む高齢化が日本の年金制度を危うくしている。

年金の受け取り方のシミュレーション。65歳からの支給を60歳からに繰り上げることが可能だが、その場合支給額が70%に減額される。何歳までに死ねば得するのかというと、76歳7ヶ月が分岐点になるらしい。つまり76歳までに死ぬ人は繰り上げでもらった方が総額が多くなる。

反対に年金支給を70歳からに繰り下げた場合、支給額が142%に増額される。82歳以上生きる人にとっては繰り下げた方が得になるという。私の回りにも、長生きするつもりで70歳から年金を受け取るつもりにしている人もいる。私はまあ65歳でいいかな、と思う。

相続税についても説明があった。最近の税制の変更で相続税の控除が小さくなった。これにより相続税の対象となる人は、4.6%から8%に増えたのだという。私は相続税はきちんと取るべきだという考えなので、それでよいと思う。先祖からの遺産はあればラッキーだが、金持ちが節税策を駆使して子孫に資産を残そうとするのはどうも納得いかない。節税の抜け穴が多すぎる気がする。個人の努力と関係のない資産への課税はもっと強化されてしかるべきと考える。

私は息子たちが小さい時から、「借金は残しても遺産は残さない」と宣言してきた。先祖から受け継いだ田舎の田畑は欲しい人がいれば引き継ぐが、私が稼いだ金は自分の余生で使ってやると思っている。ただ、自分がいつ死ぬかわからないのがやっかいだ。

知る前にお金を使い果たして子どもの世話になるのは絶対に避けなければならない。そうすると、自分の死期をきちんと予測しながら資金計画を立てなければならないということだ。これは至難の業だ。

さらに親たちの介護費用もなかなか計算が難しい。

生命保険文化センターが過去3年間に介護を経験した人を調査したデータを教えてもらった。在宅介護が57%、施設介護が41.5%だったという。そして介護にかかった費用は月額平均7.9万円、一時費用の平均は80万円だそうだ。介護の期間は平均5年。つまり介護費用は年100万円×5年=500万円とイメージしておく必要があるという。

そして、ライフプランナーの話で一番面白かったのは旅行についての話だ。

定年後何をしたいかと聞くと、男性の多くは「配偶者と一緒に旅行したい」と答える。男性のやりたい事ベスト3に必ず入るのだと言う。ところが女性の方は、配偶者との旅行はやりたくない事のワースト3に入るらしい。シニア夫婦に人気の豪華クルーズも横浜を出航する時は仲良かった夫婦が、香港あたりでは廊下で寝る夫の姿が見られはじめ、シンガポールに着く頃には半数の夫が廊下で寝ている、などとありそうな冗談を言って笑わせた。

男と女で老後のプランが違う事は、よく聞く話だ。実際趣味嗜好も違えば、体力も違う。それまで一緒に過ごす時間がなかった夫婦がいきなり一緒に過ごすようになると、思わぬストレスになるのも無理のない話だ。

そんな話を聞きながら、最近の妻のストレスを思う。はたしてどう接するのがトラブルを防ぐ事になるのか。なるべく口を開かないのが賢いのかもしれない。

コメントを残す