<きちたび>4泊5日香港マカオ深圳の旅⑧ 今話題のファーウェイの本社は中国社会に出現したシリコンバレーだった

今回深圳に来た目的の一つは、米中対立の象徴となった中国最大の家電メーカー「ファーウェイ」の本社を訪ねてみることだった。

昨年スマホの出荷台数でアップルを抜き急成長を続けるファーウェイ。そして昨年12月5日、ファーウェイ創業者の娘でもある孟晩舟副会長がアメリカの要請を受けたカナダ当局に逮捕された。

そこまで、アメリカに脅威を与えたファーウェイという企業は、どんなところなのだろうか?

しかし、私はファーウェイの本社が深圳のどこにあるのか調べずに来てしまった。

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ホテルの窓から見える超高層ビルを眺めながら、スマホをwi-fiにつないでファーウェイ本社の場所を調べてみる。しかし、Yahoo!もグーグルも検索ができない。そうだ。ここは中国だった。中国の情報統制の凄さを改めて思い知らされる。

困り果てて試しにホテル予約サイト「Booking.com」で検索すると、中心地からかなり北に行ったところにファーウェイの施設らしき場所が表示された。

最寄駅は地下鉄5号線の五和駅のようだ。何の確証もないが、この情報を頼りに行ってみることにした。

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宿泊先の華強北駅から地下鉄2号線で市民中心駅で4号線に乗り換える。

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この地下鉄4号線では、トンネルの壁面に突然広告が映し出された。そのデザインから判断すると政府広報か?

カメラを取り出し素早く撮影したが、車内が写り込んであまりうまく撮れなかった。

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深圳北駅で降りて、今度は5号線に乗り換え。

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ここは中国版新幹線「高鉄」の駅。

日本で言えば、新大阪や新横浜のような駅である。

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ホテルを出てから40分足らずで五和駅に到着。ここまでは順調だ。

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駅前には高層ビルも建っているが、予想いていたより殺風景なところだ。本当にこの近くにファーウェイがあるのだろうか? 不安がよぎる。

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駅前のバス停をのぞいてみる。

「華為基地」「華為生産中心」という文字を発見。「華為」はまさしくファーウェイのことだ。Booking.comの地図はどうやら間違いではなかったようだ。

場所がわからない以上、バスに乗った方が確かだろうかなどと考えているところに、一人の女性が私の前を通り過ぎていった。

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黒いパーカーにリュックを背負い通い慣れた風情で早足で歩く欧米系の女性。

いかにも中国的な五和の町には似合わないこの女性はきっとファーウェイ関係者だと私は判断し、彼女の後をついていくことにした。

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雑居ビルの1階に様々なお店が並ぶ、典型的な中国の街並み。

中国のシリコンバレーとはかけ離れた光景に、正直ちょっとがっかりしていた。

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五和駅から北へ10分ほど歩くと、突然街の景色が一変した。

真新しい高層マンションが立ち並び、大型ショッピングモールも併設されている。

「これが、ファーウェイか?」

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東京にあっても人気になりそうなマンションだ。

ひょっとしてファーウェイの社員住宅だろうか?

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私がフォローしていた欧米人女性も、この高級マンション群の中に消えていった。

敷地の入り口には全てゲートがあり、公安のボックスもある。警備が厳重だ。

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さらに進むと立派な噴水もあった。

見渡す限り高級マンションが立ち並び、日本の再開発とは明らかに規模が違う。

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入り口に「信義嘉御山」と書かれていた。

帰国してネットで調べてみると、中国語の販売サイトがすぐに見つかった。ドローンを使って上空から撮影した360度映像がすごいので、もし興味があればこちらからご覧いただけます。

値段は66-89㎡の2LDKで316-425万元。134-217㎡の4LDKで560-1350万元だそうだ。安くて5600万円、高いものは2億4000万円ぐらいのようだ。

噴水の近くでアンケート調査をしていた女性を捕まえて「ファーウェイはどこ?」と英語で聞いてみた。意味は通じたようで、女性は戸惑いながら「どのファーウェイか?」と聞き返してきた。私は「本社、いやどこでもいい」と答える。女性は英語が出てこないようで、手で方向を示す。どうやら大通りに戻ってさらに北に行けということらしい。

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女性の指示通り北へ向かう。

大通り沿いにはまだ続々と高層マンションが建設中だ。

それにしても、この足場の掛け方、ちょっと怖い。

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高級マンション群が途切れたと思ったら、今度は緑に覆われた大学のキャンパスのような街が現れた。

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「五和大道」という名の大通り沿いの広大な敷地の中に、ポツポツと低層の建物が建っている。

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右を見ても左を見ても、ずっと先まで緑に囲まれた施設群が続いている。

ファーウェイの本社は、想像していた超高層ビルではなく、シリコンバレー同様のキャンパスだった。ライバルのいいところは徹底的に真似る、そういった外連味のない精神が中国企業にはあるのだろう。

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ファーウェイの広大なキャンパスをつなぐためのシャトルバスも運行されていた。

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地図をみるとこのキャンパスの大きさがわかる。

あえて深圳の中心部から離れ広大な土地を確保したファーウェイ。目指すのはGAFAと呼ばれる米IT企業だということがわかる。

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ここはB区の東門。

12月30日ということで、会社は休みのようだ。

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通りには自転車置き場があったが、普段だったら自転車であふれているのだろう。

確かにこんな広いキャンパス、歩いて回るのは大変だ。

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五和大道の反対側にはF区のビルが見えてきた。

このビルがニュースなどで登場する建物だろうか?

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こちらはG区。

東西南北どちらへ行っても、すべてファーウェイなのだ。

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公園に置かれた石に赤文字で「華為」、ファーウェイ。

シリコンバレーの中に突如中国が顔を出した印象がある。

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そうかと思えば、フェンスの隙間からフランス風の建物も見える。

入念な植栽が施され、中があまり見えないようになっている。

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フェンス沿いにぐるりと回ってみると、まるでベルサイユ宮殿のような洋館が通りから見えた。かなり本格的な建物である。

後で聞いた話によると、現在ファーウェイの迎賓館を建設しているのだという。

確かに建設中だった。完成したら、通りから見えないように樹木をしっかり植えて隠すのだろう。

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ファーウェイ・キャンパスの端っこにたどり着いてから、もうかれこれ40分ほど歩いている。しかし、まだ一部を歩いたに過ぎない。1ブロックがとにかくでかいのだ。

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ちょうどお昼時なので、どこかで休みたいと思ってぶらぶらしていると、ヤシの木の並木の奥に「万科城」という文字が目についた。

人々がその中に吸い込まれていく。私もその後をついて、恐る恐る中に入ってみた。

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そこはカリフォルニアのような街並みだった。

広い歩道に植えられたパームツリー。これは完全にパクったに違いない。

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朝から曇って寒かったのに、この街に来たら急に晴れて暖かくなってきた。

なんだ、これは?

まるでカリフォルニアではないか?

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後で調べた話だが、この街は万科集団という深圳の企業グループが10年前に開発した高級住宅地らしい。

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住宅地の真ん中を川が流れ、その周囲に木々に囲まれた低層のフラッツが建てられている。

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ブロックごとにゲートがあり、セキュリティーが保たれている。

きっと深圳の中国人成功者や外国人たちが暮らしているのだろう。

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そして商店街には、住民たちの暮らしぶりを写した写真が飾られていた。

ちょっと、恥ずかしい。

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そして紛れもなく中国、決してカリフォルニアではない。

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希望通りファーウェイ本社を見ることに成功した私は気を良くして、中国最大のSNS企業テンセントの本社にも行ってみることにした。

Booking.comの地図が示したのは深圳大学の目の前。地下鉄5号線から1号線に乗り換え、深大駅で降りる。

途中、郊外でも進む高層マンション建設現場なども見られて、興味深い。

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駅を出ると、左側に深圳大学のキャンパスが続く。

「テンセントはどこ?」

大学生に聞けばすぐにテンセントの場所がわかると思ったのだが、「テンセントって何?」という顔が帰ってくる。

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大学の入り口もちょっと物々しい雰囲気で、キャンパス内に入って聞く気にもならなかった。

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そのまま西に歩いていると、深南大道を挟んだ反対側にものすごく高いビルが見えてきた。

ビルの中程に、赤いハートマークが描かれているように見える。

きっとこのビルに違いない、と確信した。

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しかし近づいてよく見てみると、「汉京集団」と書いてある。

テンセントってこんな名前だっけ?

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ビルの前まで行ってみると、まだ工事をしている。

警備の人に「テンセントか?」と聞くと、やはり通じない。そうか、テンセントは英語名。中国名は「騰訊」、発音は「タンチュイン」というような音になる。

私が困った顔をしていると、警備員は「おそらくあんたが探しているのは、あっちだと思うよ」というように中国語と手振りで教えてくれた。

ちなみに帰国後調べたところによると、この超高層ビルは深圳の不動産会社「漢京集団」が建設中の73階建の「Hanking Center Tower」だということがわかった。深圳で5番目、世界でも50番目の高さになるという。

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警備員に教えられた方向に100mほど歩くと・・・

あった! 確かにテンセントと書いてある。

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30階ぐらいのビルだろうか?

日本で言えば普通のビルだが、深圳で巨大ビルをたくさん見た後だと、すごく小さく感じた。

「これが、本当にテンセントの本社?」

ちょっと、拍子抜けだ。

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ひっそりとはしているが、リュックを背負った若者たちが出入りしている。

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表側に回ってみると、こんなビルだった。

しかし帰国後、テンセントはここから少し離れた場所に新本社ビルを建設したことを知った。

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テンセントが新社屋を建てたのは、「深圳湾創業広場」というエリアだ。

南山区にあるこのエリアは、2015年から深圳市が主導してスタートアップ企業を支援する様々な組織が集結しているという。帰国後調べてみると、深圳湾創業広場を扱った記事がたくさん存在し、今深圳でもっともホットなエリアのようだ。

テンセントの新本社のほか、ドローン世界最大手DJIの新本社もここにあるという。実は、DJIにも行きたいと思いBooking.comで調べていたのだ。

また深圳を訪れる時には、もっと事前に情報を仕入れて深圳湾創業広場にも行ってみようと思っている。

ITの街での超アナログ街歩き。それはそれで、面白かった。

 

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