2045年問題

この写真は最近、うちの会社がパートナーと一緒に展示した「ロボット×映像」を活用した受付システムだ。まだAIは搭載されていない。受付が行なっている業務のほとんどは、AIに代替できると言われているそうだ。

AIビジネス研究会著「60分でわかる! AIビジネス最前線」。

図書館に返却する日に初めてパラパラめくったら面白くて、延長してきてしまった。とてもたった60分で理解することのできない豊富な内容が書かれている。というよりも、いろいろ考えさせられるので、ただただ読み飛ばすといった軽い内容ではないのだ。

この本の最終章のタイトルは「本当に大丈夫!? AIがもたらす衝撃の未来」。

その章で扱われるテーマは、人間の仕事をAIが代わりにやる社会で何が起きるのかということだ。

言い換えると、「人間はAIの暴走を阻止できるか?」というとても60分で読み飛ばすことのできない人類の未来に関わる大テーマなのだ。

一部引用させていただく。

『2045年にはいわゆる「シンギュラリティ」に達する。つまり、AIの能力が人類を上回るという予測があります。強化学習によって自らの能力を向上させ続けるAIを人類はコントロールできず、AIに支配されるかもしれません。これを「2045年問題」と呼んで危惧する人々もいます。想像を超えたAIの進化を前にして、AIの潜在的な危険性について研究している先端企業のリーダーや著名な科学者たちが相次いで警告を呼びかけており、「AIに有害な行動をやめさせて安全な状況に導くためのシステム」が必要であると述べています。』

映画「ターミネーター」の世界は決してSFの絵空事ではないということだろう。

具体的な研究のケースが書かれている。

『最強の囲碁AI「AlphaGo」を開発したDeepMindは、反逆を企てたAIを鎮圧する技術、その名も「非常ボタン」(big red button)の研究を進めています。学習メカニズムにあらかじめ「割り込みポリシー」を仕込んでおき、人間にとって都合の悪い方向にAIの強化学習が進んでしまった場合に、人間のオペレーターが強制介入できるようにするものです。この研究のポイントは、介入されたAIが「非常ボタン」の仕組みを回避しないようにすることです。あたかもAI自身の判断で挙動を変更したように「思い込まされる」ように作られています。

ただし、2016年6月時点の発表によると、この「非常ボタン」を実装すれば一部のAIを確実に止められることが理論的に確かめられているものの、すべてのAIを安全に停止する方法があるかどうかは現時点では不明で、さらなる研究が続いています。』

日本でも議論が始まっている。

『AIの悪用を防ぎ、人間社会と共存するためにも、AIの開発・利用には明確なルールが必要です。そのような中、日本のAI研究者の総本山とも言える人工知能学会は、2014年5月に倫理委員会を設置して国内ではいち早く議論を始め、2016年にAIの研究者や開発者が守るべき綱領の素案を公表しました。綱領は「研究開発者は人類の平和、安全、公共の利益に貢献し、基本的な人権を守り、文化の多様性を尊重する。専門家として人類の安全への脅威を排除しなければならない」をはじめてとした10項目にわたっており、2016年内に正式な綱領にするとしています。』

早速、人工知能学会について調べてみた。

今年の2月28日に「人工知能学会 倫理指針」が公表されていた。

特徴的なのは9条だ。人工知能自身にこの倫理指針を守ることを要請しているのだ。

『 9.  (人工知能への倫理遵守の要請)

人工知能が社会の構成員またはそれに準じるもの となるためには、上に定めた人工知能学会員と同等に倫理指針を遵守できなければな らない。』

人間がルールを守るだけでは足りない、ここにAIを制御する難しさがあると感じられる条項だ。

こうしたルール作りの世界でもっとも有名なのが、SF作家のアイザック・アシモフが1950年に発表した「ロボット三原則」というのも驚きだ。「人間への安全性」「命令への服従」「自己防衛」の3本の柱からなっていて、現実のロボット工学やAI開発にも大きな影響を与えているのだという。日本でもAIの話をする時、鉄腕アトムやドラえもんのエピソードがよく登場する。SFやアニメの世界を現実社会が追いかけている印象だ。

「AIに仕事を奪われた後、社会はどうかる?」という刺激的な項目がある。ここでは「ベーシックインカム」という概念が紹介される。

『もし、今後AIが人間の仕事を肩代わりするようなことになると、多くの被雇用者が仕事を失うことになるかもしれません。そんなことが起こった場合、AIに仕事を奪われた場合のセーフティーネットとして、AIがもたらす経済価値をベーシックインカム(最低所得保障)として再配分してはどうかという議論がなされています。

AI社会でのベーシックインカムは、一見すばらしい制度です。人間が働かなくてもAIが働くことで一定の収入が得られ、また空いた時間を使って、AIが代替することが難しい労働を人間が代わりに行うことで余剰収入がることができるのです。そして空いた多くの余剰時間を、ボランティアやアート活動といった活動に充てるということを期待されています。

しかし、本当にそうなるでしょうか? 実際にAI社会にベーシックインカムが導入されれば、中には日々漫然と生きていく人たちも現れるでしょう。すべての人間が働かなくても報酬が入ってくるうえに、持続可能な社会というものは、私たち人類にとって初めての社会構造です。どう変化するかは、さまざまな想定がされていますが、まだ結論は出ていません。』

これは極めて大きな問題だ。

「働き甲斐」という言葉がある。仕事の愚痴を日々言い募りながらも、この「働き甲斐」を失った社会はかなり怖い。

私は比較的なんとかなると思っているが、仕事を失ったらやることが途端になくなってしまう男の人は私の周りにもいくらでもいる。女性に比べもともと社会性が乏しい男という生き物は、自らを会社や仕事と結びつけて表現しながら生きている。仕事ができることが自分の価値であり、会社での地位が社会との結びつきである。

「AIがすべてやってくれるので、あなたは休んで好きなことをしていてください」と言われて、喜ぶ人がどれだけいるだろうか? メンタルをやられる人が続出するかもしれない。

日本社会もすでにそうした方向に動き始めている。

アパホテルは「MINARAI」というAIに受付業務を代替させているという。人件費削減と同時に、AIが顧客の顔を覚えサービスの向上を図る狙いもあるそうだ。

野村総研は「10年から20年の間に、日本の労働人口の約49%がAIによって取って代わられる」というレポートを発表している。市役所や区役所勤務の地方公務員もヤバイらしい。確かにAIで十分、むしろAIの方がいいと思うような公務員は多い。給料が税金から払われていることを考えると、これは積極的に進めてほしい。ついでに地方議員もAIでいいと思う。

しかし、マニュアル的な仕事をしてきた人たちが、AIに仕事を奪われた時、よりクリエイティブな仕事ができるかというと、正直難しいと思う。

ではどうするか?

もし仮に、働かなくても暮らしていける社会を喜ぶ人が増えればどうだろう。みんなが自分の好きなことをして日々を過ごすことに満足するようになれば。AI社会もまんざら悪くはないかもしれない。

そうだ。発想の転換だ。

2045年までに、みんな自分の趣味を見つけ、仕事のない社会をエンジョイできる精神構造を身につけるよう頑張ろう。それが、これからの人類の生き方なのかもしれない。

繰り返すようが、私はそれなりにエンジョイする自信はある。

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