昨日、日比谷公園で開かれているイベントに行ってきた。
「ご当地鍋フェスティバル」。
入場は無料。今年で5回目だそうで、昨年は28万人もの人を集めた人気の食イベントのようだ。
全国から34のご当地鍋が集結していた。
行列ができている屋台もあれば、まったく人が寄り付かない屋台もある。商売の世界は、常に厳しい。
快晴で暖かな陽気に恵まれ、ちょうどいい具合の人混みだ。
野外イベントは、客がいない侘しいものも少なくない。一方で、人が集まりすぎて食べる場所もないイベントは楽しくない。
その意味では、金曜日のお昼に行ったのは正解だった。
日比谷界隈を舞台にしたイベント企画を考える機会があり、参考にこの鍋フェスを覗きに行ったのだが、せっかくなので私も食べてみることにした。
「関東初上陸」という文字に惹かれて下関名物「とんちゃん鍋」というのをいただくことにする。誰もお客さんがいないので、同情票という側面もある。
大鍋で作った鍋料理は、野外イベントにはうってつけだ。ただ、器に入れるだけですむ。
一杯600円。比較的リーズナブルな方だ。
テーブルの空き席を見つけ、早速とんちゃん鍋をいただく。
下関のとんちゃん鍋は、味噌ベースのモツ鍋だ。博多のモツ鍋よりも濃厚で、美味いけれども味がとにかく濃い。
ネットで調べると、本来のとんちゃん鍋はこうした大鍋ではなく、やや深みのある鉄板の上にモツや野菜などをのせてグツグツ煮るのだそうだ。
焼肉屋で提供されることが多く、焼肉を食べた後にとんちゃん鍋でしめるというのが下関流のようだ。
ご飯と一緒に食べればいいのだろうが、鍋単独なので口の中が辛く、このままでは終われなくなってしまった。
仕方なく、あっさり目の鍋を探し求め、和歌山の「天然クエ鍋」に行き着いた。
店頭には、高級魚クエがその巨体を晒している。
金曜日限定で一杯600円で提供するという呼び込みの声に誘われて、列に並んだ。
クエの切り身が2切れ。あっさりとしたスープ。
うどんの無料サービス込みで600円はまあリーズナブルかなと思ったが、味の方はどうということはなかった。
クエの小骨が気になって、今ひとつ私好みではない。
それでも、あっさりスープのおかげで、とんちゃん鍋の濃い味はかなり中和された。
ということで、大満足な鍋には遭遇しなかったが、やはり冬は鍋が美味しい。
ご当地鍋を求めて、全国各地を旅するのもきっと老後の楽しみになるだろう。
そういう意味で、一世を風靡した肉フェスよりも、私は鍋フェスを支持したいと思う。
せっかく日比谷公園に来たついでに、紅葉に彩られた公園内を散策してみることにした。
こんなにゆっくりと日比谷公園を見て回ったのは初めてだ。
江戸時代には大藩の上屋敷が軒を連ねていたが、明治政府はこの地に陸軍操練所を設置、日比谷練兵場と呼ばれた。
この練兵場の移転に伴って東京市に払い下げられ、1903年に日比谷公園が開園した。
公園内には、日比谷野外音楽堂などの施設もあるが、初めて日比谷図書文化館という建物に入ってみた。
中にはホールや展示室のほか、図書館があり、人々が静かに本を読んでいた。さほど混んでもおらず窓からは日比谷公園の緑を眺めることができる。椅子がゆったりと配置され、ここで気ままに本を読んで過ごすのは、とても贅沢な時間だろうと想像した。
日比谷公園、私も今後少し利用させていただこうと思った。