安藤忠雄と新海誠

国立新美術館が10周年の特別展を次々に展開している。従来の美術展の常識にとらわれない意欲的な展覧会が並ぶ。

2つの10周年企画を見て来た。

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まずは「安藤忠雄展ー挑戦ー」。世界的な建築家・安藤忠雄氏の軌跡をたどる展覧会だ。

サイトを見ると・・・

『元プロボクサー、独学で建築を学ぶ―という異色の経歴で知られる建築家 安藤忠雄(1941年-)は、1969年より「都市ゲリラ」として建築設計活動をスタートして以来、既成概念を打ち破るような斬新な建築作品を次々と世に送り出してきました。1990年代以降はその活躍の舞台を世界に広げ、アジア・ヨーロッパ・アメリカなど各国で、意欲的な作品を実現させています。その一方でさらに、建築という枠組みを超えた環境再生や震災復興といった社会活動にも、果敢な取り組みを見せています。

本展では、この稀代の建築家が、いかに生きて、いかに創り、今またどこに向かおうとしているのか―その壮大な挑戦の軌跡と未来への展望を「原点/住まい」「光」「余白の空間」「場所を読む」「あるものを生かしてないものをつくる」「育てる」という6つのセクションに分けて紹介します。模型やスケッチ、ドローイングなど、総計200点余りの設計資料が展示される空間デザインは、安藤忠雄自身の手によるものです。会場を訪れる人は、その空間を巡る中で建築家が歩んできた道程を追体験し、建築という文化の豊かさと、その無限の可能性を再確認することでしょう。』

予想以上に会場は混んでいた。確かに安藤さんは有名だし驚くことではないのかもしれないが、建築家の作品展にこれだけの人が集まるのはちょっと意外な気がした。

今では見慣れたコンクリートの打ちっぱなしの建築。大きな窓に切り取られた自然。

日本全国、さらには海外で安藤氏が作った個性的な建築が、映像や模型、図面で紹介される。建築物は持ち運びができないので、これまで展覧会には馴染まなかったのかもしれないが、映像や模型で一気に多くの建築物を見るという試みは面白い。

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この展覧会ではインスタレーションとして、野外展示場に大阪・茨木市の「光の教会」を原寸大で再現した。

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やはり、建築は面白い。そんな思いを抱く展覧会だ。

これだけお客さんが入るのなら、他の有名建築家の展覧会も今後次々に開かれるかもしれない。

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そして国立新美術館で開かれているもう一つの展覧会が、「新海誠展 『ほしのこえ』から『君の名は。』まで」。言わずもがな、大ヒット映画「君の名は。」を生み出した今一番注目されるアニメーション監督だ。

サイトによると・・・

『アニメーション監督・新海誠のデビュー15周年を記念し、『新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』を開催します。
新海誠の作品は“ 美しく壮大な世界ですれちがう男女の物語”を描くことで人間の本質に迫ります。人と人が出会い、そしてすれちがい、揺れ動く心模様を、完成度の高い物語に結晶させ、登場人物やその世界を鮮やかに描き出す作品群は、世代や国境を超えて多くの人々を引きつけています。

本展は貴重な制作資料である絵コンテや作画、設定資料や映像などの展示を通じて、そうした新海誠の15年の軌跡を振り返ります。そのほとんどの作業を1人で手掛けたデビュー作「ほしのこえ」から、集団制作に挑み初長編作品にして毎日映画コンクール・アニメーション映画賞を受賞した「雲のむこう、約束の場所」、単館上映ながら異例のロングランとなり、今なお熱狂的に語り継がれる「秒速5センチメートル」、本格ジュブナイルファンタジーに挑んだ「星を追う子ども」、デジタル時代の映像文学と言うべき「言の葉の庭」、そして記録的な大ヒットとなった最新作「君の名は。」までを完全網羅し、新海誠のアニメーション作品の魅力に迫ります。』

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安藤忠雄展よりもこちらの方が混雑していると予想していたが、意外に新海誠展が混雑していなかった。理由はすぐにわかった。客の大半が若者、展覧会客の中心をなす中高年がほとんどいないのだ。

私は新海作品が好きなので、とても興味深く展示を見た。数多く配置されたモニターでは作品の美しいシーンが流れる。絵コンテや「君の名は。」の企画書なども展示され、新海ワールドの秘密に触れられた気になった。

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この新海誠展、実は今回が初めてではないらしく、すでに中国各地も巡回したという。

展覧会は昔の人の作品を鑑賞するというイメージがあるが、今旬な人の作品を見て、その作品に込められた意味を知るような展覧会のあり方もあることを感じた。こうした展覧会も今後増えそうな予感だ。

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関連グッズもちょっと欲しくなる。

新海誠監督の最新作が待ち遠しい。その前に、「君の名は。」と「言の葉の庭」「秒速5センチメートル」を改めて見直してみたくなった。

国立新美術館、なかなかやるな。

 

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