<きちたび>妻の還暦を祝う旅③ 八百万の神を迎える「稲佐の浜」の夕日はインスタ映えする

今年の新語・流行語大賞が発表され「忖度」と「インスタ映え」が大賞に選ばれた。ブルゾンちえみの「35億」がウケる理由がまったくわからないオヤジとしては、まずは妥当な結果だと思う。

さて、先週末行った出雲の旅の続きを書く。

出雲大社のほぼ真西に「稲佐の浜」がある。大国主大神と武甕槌神が国譲りの交渉をしたと伝わる場所だ。神在月には、全国の八百万の神々をこの浜で迎える儀式がここで行われる。

この浜のことは全然知らなかった。今回ガイドブックを読んで初めて知った。出雲大社でお参りし、宿のチェックインを済ませた後、稲佐の浜まで歩いて行ってみることにした。

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出雲大社から稲佐の浜まではおよそ1キロ。「神迎の道」と名付けられている。ところどころお店もあるが、基本的には田舎の住宅街だ。特に歩道が整備されているわけでもない。

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それでも沿道の民家には花が飾られていたり、神在月のポスターが貼ってあったり住民の皆さんが観光客をもてなそうというそこはかとない気持ちは伺える。

ちなみに「日本遺産」とは、2年前から文化庁が始めたプロジェクトだ。ユネスコの世界遺産にならって日本の伝統や文化を地域ごとのストーリーとして認定し、国内外からの観光振興を図ろうという狙いがある。

今年4月、出雲も「日本遺産」に認定された。「祝・日本遺産認定」のポスターには稲佐の浜の写真が使われていた。

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自民党総務会長の竹下亘氏のポスターも。島根は昔からの保守王国。出雲市も竹下登元総理の強固な地盤だった。

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途中、「蔵の美術館」というのがある。

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江戸時代から続く名家手銭家が収集した美術品を展示しているらしいが、特に惹かれなかったのでスルーする。

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稲佐の浜に到着した。少し雲が多いが、雲の合間から夕日が顔を覗かせる。

この浜は「日本の渚・百選」にも選ばれているという。「日本の渚百選」とは、1996年「海の日」の制定に合わせて、大日本水産会などが作る選定委員会によって選ばれたのだそうだ。農水省、運輸省、建設省、環境庁などがバックアップした事業のようだが、税金を投入した効果は出ているのだろうか?

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遠くに見えるのが三瓶山。ウィキペディアによると、『出雲国と石見国の国境に位置する三瓶山は、『出雲国風土記』が伝える「国引き神話」に登場する。国引き神話では、三瓶山は鳥取県の大山と共に国を引き寄せた綱をつなぎ止めた杭とされている』のだそうだ。

私たちが浜に降りようとすると、地元の人らしきおじさんが、「この浜はずっと三瓶山の方まで繋がっていて、神話に登場する国引きの綱はこの白い浜を見て想像したものだ」と教えてくれた。確かに白い綱が遠くまで伸びているように見える。長浜海岸という延々と続く白い砂浜だ。

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ただ稲佐の浜を特徴づけているのは何と言っても「弁天島」だ。この島がなければ、ただの浜である。この島がなければ、ここが神話の舞台となることもなかったかもしれない。

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岩の上に小さな鳥居が立てられていた。

なぜこの浜が神々を迎える場所になったのか、夕暮れ時の稲佐の浜で写真を撮りながらその理由が少しわかったような気がした。

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なんとなく目で見るより写真の方がきれいなような感じ。いわゆる「インスタ映え」する撮影スポットなのだ。インスタグラムを普段使わない私でさえそんな言葉が浮かんでしまう。古代の人たちも、この弁天島越しに沈む夕日を眺めながら神々の存在をリアルに感じていたのかもしれない。

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この浜で還暦祝いの妻の写真も何枚か撮ってから、宿へ戻ることにした。

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帰りは「神迎の道」ではなく別のルートを辿った。途中テントが張られた安っぽい社の前を通りすぎた。

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実はこの誰もいないさえない神社こそ、出雲大社の境外摂社「上の宮」である。何も知らず通り過ぎた後、別の場所の案内板で知り、わざわざ引き返して写真を撮った。

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この神社は、天照大神の弟スサノオノミコトと八百万の神を祀っている。そして何より重要なのは、全国各地から出雲に集まった八百万の神々は到着した稲佐の浜にほど近いこの上の宮で会議「神議」を行うのだ。

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2日後に始まる神在祭ではこの上の宮が重要な舞台となる。出雲の住民たちは古よりこの期間神々の邪魔をしないよう歌舞音曲を控え静かに過ごすのだという。

しかしなぜ、わざわざ全国から集まった神々は出雲大社の本殿ではなくこんなボロい社で会議を開くのだろうか?

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宿への帰り道、もう一つ寄り道をした。お墓だ。

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この墓に眠るのは「出雲阿国(いずものおくに)」である。安土桃山時代の女性芸能者であり、歌舞伎の創始者として知られる。

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豊臣秀吉や徳川家康の前でも歌舞伎踊りを披露するほどの人気を博した彼女は、元は出雲大社の巫女であったと伝えられている。

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宿の近くまで戻ってくる頃にはすっかり日が暮れていた。

妻のリクエストで一軒のお店に寄る。「神迎の塩」を扱う「出雲かみしお」という塩のお店だ。

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店を入った左右には塩の山が作られていた。

「八百万の神が宿る塩」。先ほど訪れた稲佐の浜で汲み上げた海水を煮詰めて出雲で作った塩だという。科学的には山陰のどこの海水も変わらないと思いながらも、やはり年に一度神々を迎える特別な浜から作った塩は確かにありがたい気分になる。

岡山の親たちにあげるにはちょうどいいかもしれないと思い、3つ買った。

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出雲大社がなければ絶対買わない塩を私でも買ってしまうのだから、やはり宗教の力はとてつもなくパワーを持っているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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